コラム

COLUMN

HAPSによるリモートセンシング画像の提供

現在、日本でも、リモートセンシング衛星によって撮影された画像が有償で販売されています。最近、米国のスタートアップが新たな方法で撮影したリモートセンシング画像の販売を行う、との記事が掲載されました。衛星画像に比べて価格はどれくらい安いのでしょうか?ちょっと調べてみました。

 

 米国のスタートアップNear Space Labsは気象観測気球に取り付けた機器で撮影したテキサスの高解像度の画像を1km2あたり10ドルから50ドルで販売しているようです[1]

 同社のシステムは、所謂HAPS(High Altitude Platform Station)を用いるものです。

 通常のHAPSは、高度20km以上の成層圏で無人機を飛行させプラットフォームとして利用しますが、同社ではプラットフォームとして気象観測気球を利用し、高度60,000フィートから85,000フィートの間を頻繁に飛行し、飛行1回あたり400km2から700km2の画像を撮影するということです。同社ではこれを「autonomous high altitude platform(自律高高度プラットフォーム)」と呼んでいます[2]

 日本では、ソフトバンク株式会社と米国AeroVironment, Inc.との合弁会社であるHAPSモバイル株式会社が、成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局として運用し、山岳部や離島など、通信ネットワークが整っていない場所や地域に安定したインターネット接続環境を構築しようとしていますが、Near Space LabsはHAPSを高解像度の画像撮影のために用いているのです。

 

 Near Space Labsは、「HAPSは飛行機や衛星よりも低価格なサービスを提供することができ、カバレッジの扱いも簡単である。」と言っており、同社のホームページによると画像価格は最低購入面積390km2の場合10ドル/km2で合計3,900ドル、最低購入面積75km2の場合25ドル/km2で合計1,900ドル、そして1km2範囲で50ドル/km2となっています。分解能は30cm/pixelで、10cmについても開発中でありまた、アップデートは1日2回までカスタマイズできるようです[3]

 

 本当に衛星画像と比較して安いのでしょうか?

 衛星画像価格と単純に比較することは難しいところですが、参考のために宇宙技術開発株式会社の光学衛星画像の価格を調べたところ、2018年5月21日時点では、50㎝分解能で最低購入面積25km2の場合87,500円となっていました[4]。単純に1km2あたりに換算すると、3,500円/km2ですので、分解能の差はあるものの、Near Space Labsの販売価格である1km2あたり10ドルから50ドルとそれ程大きな差はないように思います。Near Space Labsは高分解能化や撮影頻度のカスタマイズ化などのサービス向上を図る計画のようですので、今後の展開を注視したいと思います。

 

 気象観測気球であれば需要の大きい地域を重点的に撮影して顧客に提供することはできますが、気球の運用上の問題もあるため全世界的なサービス展開は難しいでしょう。一方、衛星による画像の取得はリアルタイム性に問題がありますが全世界的なサービス展開が可能です。このように画像データの利用者は衛星、気球、航空機等を利用する画像データサービスの、カバレッジ、撮影頻度、分解能、そして価格などを比較してデータを購入することになりますが、色々な分野からの参入により価格競争が激しくなることは歓迎すべきことと言えます。

 

写真:Near Space Labsのホームページから掲載

https://nearspacelabs.com/use-cases/

 

[1] https://spacenews.com/near-space-labs-pricing/

[2] https://nearspacelabs.com/technology/

[3] https://nearspacelabs.com/pricing/

[4] https://www.sed.co.jp/sug/contents/price/sample.html#cost_conp

2021.1.18
2021.1.12
2020.12.21