コラム

COLUMN

世界の宇宙予算について解説!

世界の宇宙予算は、どれくらい?

宇宙市場を専門とする世界有数のコンサルティング会社Euroconsultは、2018年の世界の宇宙予算についての調査結果を報告している(1)。

 

 

(出典:Euroconsult)

 

宇宙予算が最大となった国は米国で、4兆円であった。続く中国の5830億円と比較しても1桁大きい。さらに続いて、欧州各国が共同で設立した宇宙部門の協力機関である欧州宇宙機関(ESA)と欧州気象衛星開発機構(Eumetsat)の約5280億円、ロシアの約4170億円、日本の約3000億円、インドの約1490億円となった。この他に、ESAとEumetsatの予算と重複している部分はあるが、国家としてはフランスが約3160億円、ドイツやEUが約2100億円であった。

 

2018年の米国の宇宙予算は世界の約58%であり、この値は2000年代初頭に世界の予算に対して占めた割合約75%から減少した。この背景として近年の中国の、国家主導による宇宙産業の急激な進出が大きく関係していると考えられる。

 

米国の宇宙予算はどう使われる?

米国には宇宙開発プログラムを有する機関として、国防総省(DoD)、航空宇宙局(NASA)の他に、商務省(DoC)管轄の海洋大気庁(NoAA)、内務省(DoI)管轄の米国地質調査所(USGS)などがあり、分散的な開発体制となっている(2)。

 

米国の世界最大の宇宙予算は、その多くがNASAとDoDに分配され、それぞれで宇宙探査ミッションの運用と技術開発、国家防衛のためのGPS衛星やスパイ衛星の開発・運用などが主に行われている。米国の科学技術政策局(OSTP)や国家安全保障会議(NSC)など機関によって宇宙関連の政策や予算が策定される。2017年には更に、トランプ政権によって国家宇宙会議(NSpC)が復活され、有人宇宙探査及び商業宇宙産業の活性化が米国の宇宙政策の重点事項となった(3)。

 

これによって近年は、政府による月面着陸を目的としたアルテミス計画への予算の前向きな検討や、NASAによる打ち上げサービスや衛星コンポーネント製造における民間企業の積極的な利用が行われている(4)。 今後、大統領選の結果を受けての動向が気になるところだ。

 

JAXA以外もある日本の宇宙予算の配分先とは?

日本の宇宙開発プログラムを有する主な機関として文部科学省、防衛省、内閣官房、内閣府などがある。平成31年度の宇宙関連予算では50%以上を文科省が、次いで内閣官房と防衛省が多くの割合を占めている(5)。

 

文科省の宇宙予算の多くはJAXAに計上され、ISS補給機こうのとり(HTV)やH3ロケットの開発・運用に多くの予算が使われた。内閣府では日本版GPSの準天頂衛星システムの開発・運用に、防衛省では通信衛星などに予算が使われた。

 

昨年度まで日本の宇宙予算は3千数百億円程度で微増してきた。しかし今年発表された令和3年度宇宙関連予算概算要求は、昨年から約5割増加し、過去最大の約5400億円となった。

 

また、今後20年を見据えた10年間の宇宙政策「宇宙基本計画」の改訂では、近年の米国宇宙産業での民間企業の活性化や、月面探査などの宇宙探査への関心の高まりを受けて、安全保障強化に向けた宇宙状況把握(SAA)システムの開発・構築や、国際宇宙探査の推進などを重点項目として設定されている。これにより令和3年度宇宙関連予算概算要求にて、それぞれの重点事項を主に管轄する防衛省と文科省の予算要求が増加したと見られる。

 

特に米国が重点事項として定めたアルテミス計画への協力・参入のために、令和3年度宇宙関連予算概算要求では810億円が要求された。

 

出典:

(1)http://euroconsult-ec.com/images/MAP-FOR-GSP19-PR.jpg

(2) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/working/dai1/siryou5.pdf

(3) https://www8.cao.go.jp/space/comittee/tyousa-dai2/siryou1.pdf

(4) https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-kagaku/kagaku-dai22/siryou4-2.pdf

(5) https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-minsei/minsei-dai21/siryou1-1.pdf

 

 

2021.10.20
2021.10.19
2021.10.18