コラム

COLUMN

有人宇宙開発の未来を担う、GITAI社が作り出すロボットたち

2021年8月、SpaceX社の国際宇宙ステーション輸送船「カーゴドラゴン」に載せられ、一台のロボットが技術実証のために国際宇宙ステーションへ向けて打上げられました。そのロボットの名は「S1」です。これは、汎用作業ロボットを開発する「GITAI JAPAN 株式会社」 が開発した、宇宙ステーションなどの軌道上サービスや、月面基地開発における作業の自動化を目的としたロボットアームです。AIを用いた自律型制御と、地上のオペレータによる遠隔操作を組み合わせることで、従来のロボットアームでは困難だった難しい作業も可能になっています。

 

ロボットアーム「S1」

 

この「S1」を開発したGITAI社は、宇宙に対して安価で安全な作業手段を提供するというビジョンを掲げ、宇宙ロボット開発を行う日本を代表する宇宙ベンチャー企業の一つです。2016年7月、日本IBM社で活躍されたCEOの中ノ瀬 翔氏など、そうそうたるメンバーによって設立されたGITAI社は、2019年3月、JAXAと宇宙ステーション向けの作業代替ロボット開発を目的とした、共同研究契約を締結しました。その後、2020年9月に「S1」の技術実証を発表し、2021年2月に18億円の資金調達を実施、そして、上にあるように、2021年8月には実際に開発したロボットを実際に宇宙に送るという、スピード感のある事業展開をこれまで行ってきました。GITAI社はそんなスピード展開の中、宇宙で汎用的な作業を遂行可能なロボット技術の獲得を目指しています。設立以来、技術開発を行ってきており、「S1」以外にも様々な宇宙ロボットやシステムを開発しています。

 

ロボット操縦システム「H1」

 

「S1」を含む宇宙ロボットを操縦するためのロボット操縦システム「H1」もその一つです。これは、宇宙で作業するロボットをオペレータが地上から遠隔操作できる操縦システムです。「H1」には、ロボット側から送られてくる力覚や触感をオペレータに疑似的に伝える機能がついており、オペレータが直感的にロボットを操作することが可能になっています。

 

ロボット「G1」

 

 

こちらの一見SF映画に出てきそうな風貌の「G1」も、GITAI社が実際に開発を進めているロボットの一つであり、宇宙ステーションや月面基地開発における汎用的な作業遂行を目的としています。「S1」の技術を応用した双腕で、「H1」を用いた遠隔を組み合わせることによって、様々な困難な作業を一台で担うことができます。

GITAI社はこのように高い技術力をもち、様々なロボット・システムを開発し、盛り上がりを見せている有人宇宙開発の現場で活躍しようとしています。宇宙空間へ人を運ぶには高いコストがかかるため、運ぶことができる宇宙飛行士の人数も限られています。しかし、宇宙ステーションの業務は多くあり、更に月面基地開発となると、その作業量は計り知れません。こうした過酷な環境も耐えて多く作業を遂行することができる宇宙ロボットは、有人宇宙開発の発展において重要な役割を果たすと予想されます。

 

有人月面開発も含め、ロボットと人間が協力して宇宙で仕事をするというのは、かつてはSFの世界の話でした。しかし「S1」のようなロボットアームが実際に宇宙ステーションに置かれたことにより、その世界は今や現実のものとなりました。宇宙飛行士とロボットが手を取り合って進む、宇宙開発の今後の発展が期待されています。

 

Photo Credit:GITAI Japan