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アクセルスペースHDの社外取締役に向井千秋氏と杉山全功氏が就任
2024年10月15日、株式会社アクセルスペースホールディングス(東京都中央区、代表取締役CEO 中村友哉、参考記事)は、同社の社外取締役に、元JAXA宇宙飛行士で東京理科大学 特任副学長で向井千秋氏と、実業家の杉山全功氏が就任したと発表した。
アクセルスペースHDは連結子会社である株式会社アクセルスペースを通じて、小型衛星を活用した宇宙ビジネスを展開している。今回の2名の社外取締役就任を機に、経営体制を強化して小型衛星を活用した宇宙利用サービスの社会実装を加速する構えだ。
向井氏は1977年に慶應義塾大学医学部を卒業し医師免許を取得。1985年に宇宙飛行士に選定され、1994年にスペースシャトル「コロンビア号」にアジア人初の女性宇宙飛行士として搭乗し、ライフサイエンスや宇宙医学などに関する82テーマの実験を行った。1998年にもスペースシャトル計画で再飛行を果たすなど、2度の宇宙滞在経験をもつ。
一方の杉山氏は、株式会社ザッパラスや株式会社enishの代表取締役を務め、両社を上場に導いた経験をもっており、プロ経営者、エンジェル投資家としても知られている。
宇宙のスペシャリストと経営のスペシャリストを迎えた同社の今後に注目したい。
ESAの「ゼロデブリ憲章」にニュージーランドとメキシコが署名 欧州以外で初
2024年10月14日、欧州宇宙機関(ESA)は、ニュージーランドとメキシコがヨーロッパ以外で初めて「ゼロデブリ憲章」に署名したと発表した。
2023年11月に発行されたゼロデブリ憲章では、2030年までにゼロデブリを達成することを掲げられており、包括的な指針と目標が記載されている。
ESAでは、現在イタリア・ミラノで開催されている国際宇宙会議(IAC)ではさらに23の団体が憲章に署名する予定だとしている。これにより署名の総数は15か国、100以上の企業・研究センター・国際機関となり、さらに多くの団体がこれに追随する意向を表明しているという。
月面での通信・ナビゲーション確保に向けたプログラムを開始 ESA
2024年10月15日、欧州宇宙機関(ESA)は、通信およびナビゲーションサービス提供のために月を周回する衛星群を構築する取り組み「ムーンライトプログラム(Moonlight programme)」を正式に開始したと発表した(ESAによる発表)。
この計画では、ナビゲーション用衛星4機と通信用1機の計5機の衛星が月を周回。3つの専用地上局を介して地球に接続することが構想されており、水氷の存在が示唆されている月の南極をカバーするような配置になるという。
まずはサリー・サテライト・テクノロジー(SSTL)社が製造する通信中継衛星「ルナ・パスファインダー」が2026年に運用を開始してサービスを段階的に展開。2028年末までに初期運用、2030年までに完全運用が開始される予定だという。
なお、ムーンライトは月面通信およびナビゲーション標準のフレームワークである「LunaNet」に準拠しており、NASA、JAXAと連携して推進されるため、世界のユーザーが恩恵を受けられるとのこと。
宇宙に熱を逃がす日中放射冷却素材「SPACECOOL」が24年度グッドデザイン金賞を受賞
2024年10月16日、SPACECOOL株式会社(東京都港区、代表取締役CEO 末光真大)は、同社が開発・販売する日中放射冷却素材「SPACECOOL」が2024年度グッドデザイン金賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞したと発表した。
「SPACECOOL」は、太陽光や大気からの熱をブロックし、放射冷却の原理により大気圏外(宇宙空間)に放射することで外気温よりも温度を低下させることを可能にした新素材。独自の光学設計により、この素材が放射する赤外線を宇宙まで抜けやすい8〜13μmの波長域に制御することに成功し、効率よく放射冷却を起こすことで日中の冷却を可能にしたという。
同社では、「SPACECOOL」を建物や屋外電気設備などの直射日光下にあるファシリティに適用することで、CO2排出や空調エネルギーの消費なく温度上昇を抑制できるため、カーボンニュートラル実現や熱中症対策、労働生産性の向上などに寄与することができるとしている。