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Airbusが商業宇宙ステーションプロジェクト「Starlab」に参画

商業宇宙ステーション「Starlab」を開発するVoyager Spaceは2023年1月4日、大手航空宇宙企業Airbus Defence and Space(以下Airbus)と「Starlab」におけるパートナーシップを締結したことを発表しました。同社は、宇宙飛行士が科学実験を行う軌道上実験室を設計するための技術サポートと専門知識を提供するとしています。なお、パートナーシップにおける金銭的な条件については明かされていません。「Starlab」は、地球低軌道 (LEO) での継続的な人間の存在を確保するために、2028 年に打上げられる予定です。

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Nanoracks Starlab 商用宇宙ステーション
Nanoracks社が設計した「Starlab」のイメージ図
Credit: Nanoracks

商業宇宙ステーションプロジェクト「Starlab」の概要

「Starlab」は、Voyager SpaceとNanoracks、Lockheed Martin の3社が共同で開発する商業宇宙ステーションで、2021年10月に構想が発表されました。「Starlab」は、一度に最大4人の宇宙飛行士を収容できる膨張可能な居住モジュール、ドッキングノード、電力推進要素(PPE)、大型のロボットアームで構成されており、一度の打上げで軌道に乗せることができるほか、微小重力環境を活かした科学実験や技術調査などを実施できるように設計されています。

ポストISSの時代が急がれる中、米航空宇宙局(NASA)は2021年3月、老朽化した国際宇宙ステーション(ISS)の後継機の開発を、在米の民間会社に委託する「Commercial LEO Destinations(CLD)プログラム」を発表しました。同年12月、同プログラムにおけるパートナー企業として選定されたVoyager Spaceの子会社Nanoracksは、最大の賞である1億6000万ドルを受賞。この資金は、NASAが2030年までにISSから商用宇宙ステーションへの移行を準備する間、「Starlab」の設計作業を支援することを目的としています。

「Starlab」の開発を進める3社は宇宙での運用に豊富な経験があり、Nanoracks は、ISS で培った商用経験を活かし開発を担当します。Voyager はプロジェクトの戦略立案と設備投資を主導、Lockheed Martin は 「Starlab」 のさまざまな技術的ピースを組み立てるインテグレーターの役割を担います。また、今回パートナーシップを締結したAirbusは、技術設計サポートと専門知識を提供するとしています。

Airbusとのパートナーシップについて、Voyager Spaceの会長兼CEOであるディラン・テイラー氏は「我々はAirbus社と協力して、Starlab のエコシステムを拡大し、欧州宇宙機関(ESA)とその加盟国の宇宙機関がLEO(地球低軌道)での微小重力研究を継続するためのサービスを提供する」と話しました。

Airbusについて

Airbusはフランスのトゥールーズに本社を置く、欧州最大の航空宇宙機器開発製造会社です。同社は、世界の航空宇宙部門で実績のあるリーダーとして、革新的なソリューションの設計、製造、提供を行っており、安全かつ豊かで持続可能な世界の創造を目指しています。また、同社は防衛やセキュリティ分野においても実績が豊富で、欧州のみならず世界の宇宙業界をリードする企業の1つです。ヘリコプターの分野では、最も効率的な民間および軍用回転翼航空機のソリューションとサービスを世界中に提供しています。

Credit: Airbus Defence and Space