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リアルテックファンド、ロケットエンジン開発のミヨルニア・スペースワークスに出資

株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合併企業であるリアルテックホールディングス株式会社(東京都墨田区、代表 永田暁彦、丸幸弘)は2023年7月5日、同社が運営する「リアルテックファンド」が安価で安全、高出力のハイブリッドロケットエンジンを開発する株式会社MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス「以下MSW」、北海道札幌市、代表取締役Viscor Tor)へ出資したと発表した。

Credit: リアルテックホールディングス株式会社

急拡大する小型衛星市場と不足するロケット

近年、小型人工衛星による通信や地上観測などの市場が急拡大していることから、ロケットによる人工衛星の打上げ需要が高まっている。
しかし、人工衛星の打上げ需要に対してロケットの打上げ数が大幅に不足しており、打上げコストは依然として高額だ。
宇宙産業におけるこの課題を解決するためには、ロケットの製造数を飛躍的に増やしつつ、低コスト化を進める必要があるが、ロケットエンジンの量産や低コスト化は難易度が高くボトルネックになっている。

安価で安全なロケットエンジンシステムの大量供給によるボトルネック解消

現状ロケットエンジンの主流となっている液体ロケットエンジンは構造が複雑で、量産に向けたハードルが高い。
一方、MSWが独自開発しているハイブリッドロケットエンジンは、構造が簡易であるほか、燃料として爆発物を使わないため、量産と低コスト化に適したエンジンとなっているという。

これまでハイブリッドロケットエンジンは、大きな推力を出せないという課題があり実用化されていなかったが、MSWのハイブリッドエンジンは、国内最大級となる40kN(キロニュートン)級エンジンの初期的な地上燃焼試験を成功させている。

MSWは今後、安価で安全なロケットエンジンシステムを大量生産し、世界中のロケット開発会社に大量供給することで、企業のロケット開発を加速させていく考え。

調達資金でエンジン開発と地上燃焼試験を実施

リアルテックファンドは、地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジーを有するスタートアップ(リアルテックベンチャー)への投資育成を行うベンチャーキャピタルファンド。
国内外の政府・企業・自治体と密に連携し、技術の社会実装を最速・最大化させるために、マネジメントに深く関与するフルハンズオンで支援を行っている。

MSWは今回の調達資金をもとに開発体制を強化しつつ、年内にはハイブリッドロケットエンジンの製品化に向けた開発を、2024年にはフライト試験を実施する計画。

今回の出資について、リアルテックファンド グローバルマネージャーの小正瑞季氏は「事業計画に関する協議や各種準備を重ね、今回ようやく出資させて頂くことになり、大変嬉しく思っている。革新的なハイブリッドロケットエンジンの大量生産による宇宙産業のボトルネック解消と宇宙利用の加速による社会課題解決に貢献できると信じ、リアルテックファンドはMSWを全力で支援していく」とコメントした。