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アメリカ第二の有人宇宙船の実現へ!ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」無人飛行に成功

近年は民間人の宇宙への進出が現実味を帯びてきました。しかし、人を乗せて飛び立つ宇宙船は、まだまだ限られた数しか存在せず、私たちが近い将来に宇宙への夢を叶えるためには、有人宇宙船の開発が欠かせません。米航空宇宙メーカーのボーイングは2022年5月26日(木)、新型宇宙船「スターライナー」の無人飛行試験「OFT-2」に成功しました。米国第2の有人宇宙船の実現、そして人々の宇宙への夢の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しました。

Credit : Boieng

「スターライナー」無人飛行に成功

ボーイングの開発した新型宇宙船「スターライナー」が、ISSでの5日間の滞在を経て、ついに地上への帰還を果たしました。計画されていた試験項目をすべてクリアし、将来の有人飛行実現に向けて、大きく前進するかたちとなりました。

無人飛行試験「OFT-2」

ボーイングによる2回目の無人飛行試験となる本ミッション。Orbital Flight Test2、通称「OFT2」と名付けられた今回の軌道飛行試験は、将来の有人飛行に向けた試験であることに加えて、ISS滞在の宇宙飛行士に物資を届ける役割も担います。「OFT2」は、2022年5月19日に「アトラスV」ロケットによる打ち上げでミッションがスタート。ロケットから「スターライナー」は分離され、その後予定されていた軌道への進入に成功。「スターライナー」はそのままISSへと向かいました。

ISSへドッキング

打ち上げから24時間を経て、「スターライナー」はISSに到着し、ドッキングに成功しました。ISSには各宇宙船とドッキングするためのモジュールが設置されていますが、「スターライナー」は“ハーモニー”と呼ばれるモジュールにドッキング。ここで、ISSにいる宇宙飛行士と接続し、物資の交換や「スターライナー」の内部検査のため、5日間係留しました。

ドッキング解除、着陸に成功

Credit : Boieng

 

ISSでの5日間の接続を終えた「スターライナー」は、5月25日にドッキングを解除。大気圏へ再突入し、パラシュートを展開。その後、米ニューメキシコ州の着陸施設への着陸に無事成功しました。

 

無人飛行成功までの道のり

打ち上げからISSへのドッキング、地上への帰還までの全工程で試験項目を通過した同ミッション。「スターライナー」による有人飛行の実現が、大きく現実味を帯びてきました。しかし、無人飛行成功に至る今日までに、あらゆるトラブルを乗り越える必要がありました。

初の飛行試験は2019年

2019年12月、「スターライナー」の最初の無人飛行「OFT1」が実施されました。無事にISSへの軌道に乗り、ドッキングまで実施する予定でしたが、ソフトウェアと通信系統にトラブルが発生。計画を断念し、帰還することとなりました。

発射準備中の不具合発生

2021年7月、最初の試験から部品の改善を施し、2回目の無人飛行に挑みました。しかし、発射準備段階でスラスターのバルブに不具合があることが判明。その場では解決に至らず、結局発射を断念せざるを得ない状況となりました。

3年越しのISSドッキング、無人飛行成功

これまで起きたあらゆるトラブル事象を見直し、挑んだのが今回の「OFT2」でした。さまざまな困難を乗り越えてきたからこそ、より精度の高い宇宙船が実現し、無人飛行という偉業の達成に繋がったのではないでしょうか。

スペースX社「Crew Dragon」に次ぐ、有人宇宙船の実用化へ

Credit : NASA TV

2000年初期頃までは、「宇宙船といえばNASAのスペースシャトル」と答える人がほとんどでした。しかし、資金上の課題から、スペースシャトルは2011年に廃止。米国から宇宙へ旅経つ手段が、一度は途切れることとなります。

 

そのような状況下で、宇宙への夢を託された民間企業がスペースXとボーイングです。イーロンマスク氏が率いることでも有名なスペースXですが、2020年5月に宇宙船「Crew Dragon」の有人飛行試験が成功。同年11月には、日本人宇宙飛行士の野口聡一氏を乗せての運用飛行を実現したことで話題となりました。そして今回、ボーイングが「スターライナー」の無人飛行に成功。これを受け、米国2番目の有人宇宙船の実用化が早くも期待されています。近い将来、「スターライナー」に搭乗する日本人宇宙飛行士も誕生するでしょう。

今後の運用は?有人飛行はいつ?

無人飛行にて機能に問題のないことが確認できた今、すでに有人飛行試験に向けて新たな機体を制作しているとのことです。準備が順調に進めば、2023年内には有人飛行試験を実施。宇宙飛行士を乗せた本格実用まで、あと一歩のところまで辿り着いているようです。

「スターライナー」が、宇宙への夢を手繰り寄せる

「宇宙」というワードをより多く耳にするようになった現代ですが、それでも実際に宇宙に行くことができる人はごくわずか。そんな中、「スターライナー」は私たちと宇宙の距離をぐっと近づける、希望の宇宙船となるでしょう。引き続き挑戦の続く「スターライナー」に、宇宙への夢を託してみては。


綱嶋 直也