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宇宙利用のビジネスアイデアコンテストS-Booster 2024、AIを活用したデブリ回避サービスが最優秀賞
2025年1月16日、東京都中央区の室町三井ホール&カンファレンスとオンラインのハイブリッド開催にて、宇宙を活用したビジネスアイデアコンテスト「S-Booster 2024」が開催された。
内閣府が主催するこのコンテストは今年が7回目。宇宙という環境を利活用したビジネスという観点で優れたアイデアを表彰するもの。今年は、日本およびアジア太平洋地域から160件の応募があり、審査を経て、国内8チーム・海外3チームの計11チームが最終選抜会に臨んだ。
会場では、各チームによるピッチの後で審査員による合議が行われ、京都大学 生存圏研究所 特任教授の高崎宏之氏・同大学大学院 理学研究科付属天文台 宇宙ビジネス産学連携室 室長の森本太郎氏・情報通信研究機構(NCT)宇宙環境研究室 主任研究員の西塚直人氏のチーム「Space Weather Company」が最優秀賞に選出され、1,000万円の賞金を手にした。
同チームのアイデアは、宇宙天気予報AIとデブリ観測レーダーを組み合わせることによる、人工衛星とデブリの衝突回避サービス。
現在、地球観測や通信・測位などの需要が増大していることで地球低軌道(LEO)上には多数の衛星が存在し、デブリとの衝突を回避するための運用負荷が非常に高まっている。高橋氏らのアイデアではデブリ観測用のレーダーの開発も必要となるが、これが実現すれば軌道予測の精度が向上し、運用負荷も劇的に軽減されるという。
ispaceの月面着陸ミッション2、マイルストーンSuccess 4までをクリア
2025年1月17日、株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役 袴田武史)は、Mission 2 “SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON”(以下ミッション2)にて、日本時間の同日午前4時40分、地球から250,000キロメートルの地点で約16秒間メインエンジンを噴射して初回の軌道制御マヌーバを実施、月着陸船(ランダー)「レジリエンス(RESILIENCE)」を予定軌道へ投入するとともに、主推進系および誘導制御系の動作を確認したと発表した。
これにより、ミッション2マイルストーンのSuccess 4を完了したことになる。
レジリエンスは、1月15日にアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターからSpaceXのロケットで打ち上げられ(参考記事)、15日午後4時44分にロケットより分離、その後、軌道上での安定した電源供給の確立を確認、Success 2と3を達成していた。
続くマイルストーンSuccess 5は、約1カ月後に予定されている「月フライバイの完了」。レジリエンスは低エネルギー遷移軌道に入り、月周回軌道に向かうことになる。
ブルーオリジンのロケット・ニューグレン、初飛行で軌道に到達 ブースター着陸には失敗
現地時間の2025年1月16日午前2時03分、アメリカの宇宙開発企業ブルーオリジン(Blue Origin、アメリカ・ワシントン州、CEO David Limp)は、ケープカナベラル宇宙軍基地から、同社が開発した大型ロケット「ニューグレン」の初打ち上げを行い、ロケットは軌道に到達した(Blue Originによる発表)。
今回の打ち上げでは、ロケットの第2段に「ブルーリング・パスファインダー(Blue Ring Pathfinder)」という複数の軌道間の移動を担うプラットフォームの実証機が搭載されており、順調に動作しているという。また、ロケットの第一段ブースターの着陸も試みられたが、同社によると着陸は失敗し、機体は失われた。
CEOのデビッド・リンプ氏は「ニューグレンが初めての挑戦で軌道に到達したしたことを誇りに思う」と語り、「初の試みでブースター着陸を成功させるのは野心的な目標であることはわかっていた。われわれはこの経験から学び、この春の打ち上げで再挑戦する」とコメントした。
JR西日本の投資ファンドとオリックス、ロケット開発・宇宙輸送のスペースワンに出資
2025年1月16日、小型ロケットの打上げによる宇宙輸送の実現を目指すスペースワン株式会社(東京都港区、代表取締役社長 豊田正和)は、2024年中のラウンドで、株式会社JR西日本イノベーションズ(大阪府大阪市、代表取締役社長 川本亮)とオリックス株式会社(東京都港区、取締役 兼 代表執行役会長・グループCEO 井上亮)から、追加の資金調達を実施したと発表した。
資金調達に際し、スペースワンはJR西日本イノベーションズと業務提携に関する覚書を締結。ロケット打上げが地域の内外にもたらす価値を創出・共有することで地域課題の解決に貢献していくという。
また、オリックスにとっては初の宇宙産業関連企業への投資となる。