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世界における女性宇宙飛行士の歴史 - SPACE Media

世界における女性宇宙飛行士の歴史

公開日：2022年08月29日
更新日：2022年08月30日

「アルテミス1」
Credit: NASA/ジョエル・コウスキー

2022年8月29日（※）に予定されていた、有人月探査を目標とするアルテミス計画の中で初めての試験飛行である「Artemis1（アルテミス1号）」の打上げ計画。このアルテミス計画でNASAは「月に降り立つ最初の女性を送る」と宣言しています。有人月探査が行われるのは1972年に修了したアポロ計画以来、初めてのことです。

NASAによるアルテミス計画には、日本のJAXA (＝宇宙航空研究開発機構) も参加しています。アルテミス計画に向けて、2021年にJAXAは13年ぶりの宇宙飛行士の募集を行いました(※前回記事参照)。今回の募集は、特に女性の応募を推奨しており、宇宙業界では女性の存在が大きくなりつつあります。

今回の記事では、世界における女性宇宙飛行士の歴史を紐解いていきましょう。

※次回の打上げは、2022年9月2日（金）以降に予定されています。

※前回の記事：「13年ぶりの宇宙飛行士選抜試験の実態とは？異例続きの募集に期待！」
　　　　　　　　https://spacemedia.jp/news/2583

1 世界初の女性宇宙飛行士
2 日本の女性宇宙飛行士
3 各国の女性宇宙飛行士

世界初の女性宇宙飛行士

JAXA有人宇宙技術部門のウェブサイト(1)によると、今までに宇宙へ行ったことのある女性は、世界で64名います。一方、男性宇宙飛行士は502名です。ちなみに、ここで宇宙へ行った人の定義は、高度100kmを越えたことを意味し、宇宙旅行や弾道飛行を含むそうです。

世界初の女性宇宙飛行士をご存じでしょうか。今から約59年前の1963年6月16日、旧ソ連の宇宙船「ボストーク6号」に搭乗したワレンチナ・テレシコワさんが、女性として初めて宇宙へ行きました(2)。彼女は、地球を48周したそうです。

また、宇宙大国であるアメリカ初の女性宇宙飛行士にはサリー・ライドさんがいます。サリーさんは、1983年スペースシャトル・チャレンジャー号で宇宙飛行を行いました。ソ連と比べると20年の差があります。アポロ計画は全て男性だったので、アポロ計画が終了した後、女性宇宙飛行士の育成に力を入れたのかもしれません。現時点でアメリカ人女性宇宙飛行士は50名誕生していて、世界の女性宇宙飛行士の8割弱がアメリカ人です。続いて２位のロシアが4名、そして日本は中国、カナダと同率の3位で２名の女性宇宙飛行士がいます。

アメリカ初の女性宇宙飛行士はサリー・ライドさん
Credit: NASA

日本の女性宇宙飛行士

続いて、日本の2名の女性宇宙飛行士を紹介します。まず日本人、そしてアジア初の女性宇宙飛行士は、向井千秋さんです。向井さんは1994年7月にスペースシャトル・コロンビア号に搭乗しました。また、1998年10月にスペースシャトル・ディスカバリー号にて二度目の宇宙飛行を行っています。

２人目の日本人宇宙飛行士は山崎直子さんです。山崎さんは2010年4月スペースシャトル・エンデバー号にて宇宙飛行を行いました。今回の宇宙飛行士選抜試験で3人目の宇宙飛行士が誕生するのか注目が集まっています。

1998年「スペースシャトル・ディスカバリー号（STS-95）」
日本初の女性宇宙飛行士向井千秋さんが搭乗
Credit: NASA

各国の女性宇宙飛行士

さらに、隣の国、韓国で初めての宇宙飛行士であり、現時点で唯一の韓国人として宇宙へ行った人物は女性です。3万3千人の応募者の中から選ばれた李素妍（イ・ソヨン）さんは、2008年4月に、ソユーズTMA-12号に乗って10日間宇宙飛行を行いました(3)。

その他の国で女性宇宙飛行士が存在しているのは、イギリス、フランス、イタリアでそれぞれ1名ずつです。年代順に述べると、イギリス人初の女性宇宙飛行士はヘレン・シャーマンさんです。彼女は1991年5月に、ソユーズTM-12でミールを訪れました(4)。次に、フランスの初女性宇宙飛行士は1996年8月にクローディ・エネレさんです。クローディさんはソ連の運用していた宇宙ステーション「ミール」に2週間ほど滞在されました(5)。そして最後に紹介する女性宇宙飛行士は、イタリア人女性初の宇宙飛行士であり、今でも現役であるサマンサ・クリストフォレッティさんです。2014年11月にソユーズTMA-15Mで宇宙飛行した際に、国際宇宙ステーションに199日間滞在しました(6)。