2026年7月17日、株式会社ElevationSpace(宮城県仙台市、代表取締役CEO:小林稜平)は、東京都中央区のX-NIHONBASHI TOWERにて報道向け説明会を開催し、同社が開発を進めてきた軌道上実験衛星「あおば」初号機の開発と事業の進捗状況について説明を行いました。
最初に、CEOの小林陵平氏がElevationSpaceの全体像を紹介。同社の事業は「宇宙環境利用・回収」と「宇宙輸送」の2本柱で、前者は微小重力を活用した研究・製造の成果物を持ち帰る小型無人機によるサービス、後者は宇宙ステーションなどの有人拠点から小型カプセルで高頻度に物資を持ち帰るサービスです。
宇宙環境利用・回収サービスに関しては、初号機となる衛星「あおば」のフライトモデル(実際に宇宙に打ち上げるモデル)が完成に近づいており、2027年頃の打上げを目指しているとしました。
また、宇宙輸送サービスについては、新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)などの輸送船で再突入カプセルを国際宇宙ステーション(ISS)などに持ち込み、実験サンプル等を帰還させることを想定。一度に複数のカプセルを送ることで複数回の回収機会をつくることができると説明しました。
続いて、CTO(最高技術責任者)の藤田和央氏が「あおば」初号機の開発状況を説明。
同機は今年3月にフライトモデルの組み立てが完了し、現在は最終検査として熱真空試験や振動試験などを行う段階だと状況を紹介しました。「あおば」は再突入時にエンジンを噴射して軌道離脱を行う仕組みとなっており、その際に用いられるエンジンの燃焼試験も終えたとのことです。
打上げ後の運用についても説明が行われ、「あおば」は軌道上で1カ月半初期運用を行い、2カ月半軌道上で運用した後、1カ月半かけて予定エリアにカプセルを着水させるための再突入運用を実施。海上への着水後は位置情報を元にカプセルを回収する流れになるといいます。
なお、「あおば」初号機はドイツのIsar Aerospaceのロケットで打ち上げられる予定ですが、同社のロケットはまだフライトを完全に達成していない状態であるため、藤田氏は最終的な打上げ環境については未確定の部分もあるとしました。
最後に、COO(最高執行責任者)の宮丸和成氏が国内外の事業者との事業連携の状況を説明しました。
宮丸氏は事業開発において、機体を売るだけでなくサービスを提供することを意識しており、これに向けて国内外の多様なプレイヤーと連携を進めていることを紹介しました。特に、米国の宇宙企業Redwireや宇宙創薬プラットフォームを開発するルクセンブルクのExobiosphere、同じくルクセンブルクで自律型ペイロード運用プラットフォームを開発するSpace Cargo Unlimitedはすでに顧客基盤を有していることから、顧客ニーズに合わせた機体の開発や共同でのサービス提供が可能になるという見通しを示しました。
説明会の中で、小林氏は宇宙からの物資回収を「ラストマイルを担う不可欠な輸送インフラ」とし、日本が世界に誇る再突入技術を活用してグローバルでナンバーワンを取れるようなサービスを提供していきたいと意気込みを語りました。初号機打上げに向けた準備なども進む中、同社の事業の進展が注目されます。
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