天文用語には、似て非なる言葉が多くあります。この記事で紹介する銀河、星雲、星団といった言葉はどれも同じように感じられるかもしれません。特に星雲と星団は混同しやすいですが、銀河や星雲、星団がどのような天体から構成されてできているのかを知れば、区別することができます。ここでは、これらの天体の違いについて解説します。
1 銀河
銀河とは、数百万個から数千億個ほどの恒星が集まった集団をいいます。宇宙全体には銀河が数千億個存在していると考えられています。つまり、莫大な数の恒星がこの宇宙にあるという事がわかります。これだけの数の銀河があれば、そのうちの1つや2つに文明を持った星があってもおかしくないですね。
さらに幅広く考えると、銀河が数個から数十個集まったかたまりを「銀河群」、百個から数千個集まったかたまりを「銀河団」といいます。集まった銀河はお互いの持つひきつけ合う力、すなわち引力により結びついています。
ちなみに私たちの住んでいる地球がある太陽系は、「天の川銀河」と呼ばれる銀河に属しています。
2 星雲
星雲は、ガスやチリで作られた雲のように見える天体です。星雲を知る上で避けては通れない言葉が「星間物質」と「星間雲」です。星間物質は、宇宙空間にただよっている水素のガスや炭素などのチリを指します。この99%は水素で構成されています。そして星間雲とは、地球上の空に浮かんでいる雲とは異なり、星間物質が周りよりも濃く集まり、まとまっているものをいいます。つまり星雲は、星間物質が周囲の星からの光を反射することで光っているように見えるのです。
実は恒星には人間と同じように<誕生>と<死>があります。星の誕生とは、まさにこの星雲から生み出されることであり、死は星雲に戻っていくことを意味します。恒星も、人間の生きるスパンよりもずっとずっと長い時間をかけて生と死の循環を繰り返していると考える事ができます。参考(1)
3 星団
星団は、天の川銀河に存在する恒星が集まった天体です。ガスやチリが集まり、周囲の星からの光を反射した星雲とは異なります。星団を構成する恒星の数は、少ないもので数十個、多いものは数百万個あります。また、星団は「散開星団」と「球状星団」の2種類に分類されています。「散開星団」は10から100の若い恒星で、「球状星団」は数万から百万の古い恒星で作られていると考えられています。
今回紹介した銀河や星雲、星団は、地球から肉眼で観察することは難しいものもありますが、宇宙空間で活躍しているNASAの「ハッブル宇宙望遠鏡」などで撮影された数々の綺麗な画像がインターネット上で公開されています。このような画像は以下のNASAの写真・画像ライブラリーから英語で検索できます。いくつかですが、英語のキーワードを掲載しますので、ぜひ検索してみてください。
・銀河:galaxy
・星雲:nebula
・星団:cluster
・ハッブル宇宙望遠鏡:Hubble Space Telescope
・NASAの画像や映像が一括検索できるサイトはこちら→ https://images.nasa.gov/
参考図書:
二間瀬 敏史, 中村 俊宏, 徳丸 ゆう『宇宙用語図鑑』, マガジンハウス, 2007年
池内 了, 大内 正己, 勝川 行雄, 川村 静児, 小久保 英一郎, 田村 元秀, 橋本 樹明, 半田 利弘 , 坂東 信尚『小学館の図鑑NEO新版 宇宙』, 小学館, 2018年
(1) 自然科学研究機構 国立天文台 理科年表オフィシャサイトhttps://www.rikanenpyo.jp/FAQ/tenmon/faq_ten_004.html
SPACEMedia編集部