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三井物産エアロスペースらが開発の超小型衛星「ニンジャサット」、打上げへ

NinjaSatはブラックホールや中性子星の観測に挑戦する
Credit: 理化学研究所YouTube「rikenchannel

国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)、三井物産エアロスペース株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 大杉定之)とミッションインテグレーターのKongsberg NanoAvionics社(リトアニア)は、2023年8月7日、X線観測衛星NinjaSatミッションの概要を発表した。

このリリースは同日、アメリカ・ユタ州で開催されていた、世界最大の小型衛星関連展示会・学会であるSmall Satellite Conference 2023にて発表されたもの。

NinjaSatは、三井物産エアロスペースが理研から請け負い、Kongsberg NanoAvionicsをパートナーとして開発したX線天体を観測する6Uサイズキューブサット。

Uは超小型衛星のサイズを表す単位で、1Uは約10cm×10cm×10cmの立方体を示す。

2年間にわたりブラックホールや中性子星などを観測するNinjaSat

同ミッションでは、地球低軌道(LEO)に打ち上げられるNinjaSatを使い、2年間にわたりブラックホールや中性子星などX線で明るい天体から放出されるX線光子を観測する。
NinjaSatプロジェクトは理研内の2つの研究グループが進めており、千葉大学や広島大学からもメンバーが参加している。

持続的に明るいX線天体を柔軟に観測することが可能で、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された全天X線監視装置MAXIが発見した明るい突発天体のフォローアップ観測も行う。

理研のNinjaSatチームは、地上の可視光望遠鏡や電波望遠鏡と連携し、宇宙の強重力天体への物質降着の過程を研究するために、突発的に明るくなるブラックホールや中性子星をX線で観測することを目指している。

三井物産エアロスペースのパートナーであるKongsberg NanoAvionicsは、これまでの同社の実績に基づく技術や豊富なノウハウを用いて、実証済みの多目的6Uキューブサットサイズの「M6Pナノサテライトバス」に、理研が開発した科学ペイロードを搭載したNinjaSatの統合試験や各種試験を実施した。

同衛星は今年、SpaceX Transporter 9ミッションで打ち上げられる予定。

小型さと柔軟性を活かし、重要な科学的成果を狙う

理化学研究所の主任研究員である玉川徹氏は今回のリリースに際し、「NinjaSatのような小型で柔軟なキューブサットは、大型衛星より柔軟な方法でX線天体を観測することが出来ます。理研がJAXAと共同で運用している国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された全天X線監視装置MAXIが発見した明るい突発天体を高頻度で観測する等、柔軟な運用も可能であり、時間領域天文学に於ける価値は非常に高いものです。忍者のように、ひそかに重要な科学的成果を狙っています」と述べている。

NinjaSatミッションは三井物産エアロスペースの衛星ワンストップサービスを活用したプロジェクトで、同社では今後も多様なパートナーと展開していくとした。