米スペースXは、2023年4月17日に予定していた大型宇宙船「スターシップ」と第1段ロケットブースター「スーパーヘビー」を組み合わせた初の飛行試験において、加圧システムの問題が発生したことにより打上げを中止しました。
「スターシップ」打上げ中止の詳細
大型宇宙船「スターシップ」は同日午前8時20分(米国東部時間)、テキサス州のボカチカにあるスペースXの試験場から打上げられる予定でしたが、カウントダウンの最終段階で「スーパーヘビー」と呼ばれるロケットブースターの加圧バルブに問題が発生。カウントダウンは40秒前に止まり、同社は打上げを延期すると発表しました。打上げ延期の詳細は明らかにされていませんが、スペースXの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏のツイートによれば、推進剤の搭載作業中に加圧弁の凍結と見られる現象が確認されたということです。
大型宇宙船「スターシップ」の概要
「スターシップ」は、米国のスペースXが開発を進める完全再使用型の二段式超大型ロケット・宇宙船。スーパーヘビーと呼ばれる第1段の巨大ブースターと、第2段のスターシップで構成されており、地球周回軌道、月、火星に人や貨物を運べるように設計されています。スターシップは全長50m、直径9mで最大100人の乗客を月や火星まで運搬。一方、スーパーヘビーは全長69m、直径9mで、液体酸素とメタンを燃焼させるラプター・エンジン33基を搭載しています。スターシップとスーパーヘビーは組み合わせると全長120mにもおよぶ大型宇宙船となり、これはかつてのアポロ計画で使われた「サターンV」の110.6mを超える大きさです。
スターシップはこれまでに5回の高高度飛行試験を、スーパーヘビーは地上でのエンジン点火試験をそれぞれクリアしています。今回の打上げでは、スターシップとスーパーヘビーを組み合わせた初の飛行試験となる予定でした。
同社は「スターシップ」の次回打上げ日程を、4月20日午前9時28分から10時30分(米東部時間)までの間に設定しており、この打上げが成功すれば、スターシップにとっては初の宇宙飛行、スーパーヘビーにとっては初の飛行となります。