近年、宇宙関連事業が国家主導プロジェクトから民間・スタートアップ主導へ転換されつつあり、それに伴って人工衛星の数が急増しています。これまで人類が打上げ、軌道上で現在も活動している衛星は約4,000機ありますが、近年は毎年その4割(約1,400機)近くずつ増加しています。これらの衛星との通信に必要不可欠なものが「地上局」であり、これはアンテナや機能 (モデム)、サーバーなどから構成される無線局です。しかし、近年の衛星の急増を支えるための地上側の整備が追いついていないという課題がありました。そこで、人工衛星のリソースと可能な限り連携し、地上と衛星をスムーズに繋ぐサービスとして、日本国内初となる完全クラウド型の人工衛星向け地上局プラットフォーム「Skygate」の開発が進められています。
「地上局」とは、宇宙にある探査機や人工衛星と通信する無線局の総称です。地上400kmから数万km離れたところを、時速数万kmという速さで飛んでいる衛星を地上から追尾し、信号を捉えて処理し、データを入手する設備となっています。
衛星の軌道は、主に静止軌道と周回軌道に分けられ、今後、地球に近い位置の周回軌道である低軌道が、確実に増えていくと予想されています。
このような状況を受け、スカイゲートテクノロジズ株式会社は国内初のクラウド地上局プラットフォーム「Skygate」で地上局をクラウドサービスとして提供し、衛星ビジネスの拡大を目指しています。
これまで衛星で撮影された写真は、地上局不足や地上局の能力不足のため、撮影からデータ活用まで数日から数週間もかかってしまうことが 「当たり前」でした。本来、地上局の設置・運用には億単位のコストや、法令(衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律)などの知識が必要であり、衛星運用者にとって、地上インフラ整備を 行う障壁になっていました。「Skygate」は地上局の設置から運用までをまとめてサービスとして提供することで、衛星運用者の設備投資・運用負担の軽減と、ビジネスの拡張性・柔軟性の確保に貢献しています。
また、近年多くのサーバー機能がオンプレからクラウドに置き換わったように、これまでハードウェアに頼っていた地上局の機能(モデム)を、ソフトウェアの力でクラウド最適化(衛星データを直接AWSやGCPなどへ統合可能とする)し、これまで各地上局に物理的に分散していた機能を標準化・集約化することで、地上局機能をスケールし、地上側のボトルネックを解消しています。
このように「Skygate」は、衛星で収集した情報を10分以内に地上に届けることができるインフラを 提供することで、衛星データを活用した新たな宇宙ビジネスが自由自在にスケールできる世界を実現しています。
今回は、栗津昂規氏がCEOを務めるスカイゲートテクノロジズ株式会社にお話を伺いました。
(以下、スカイゲートテクノロジズ社)
空を飛んでいる人工衛星をいかに効率よく、地上側の価値に変換できるか。そのために地上にあるクラウドやデータセンタという現代データリソースと、どれだけ密着に連携できるかが重要になると考えています。そこの間を繋ぐものが地上局であるため、宇宙にあるものとクラウドのバックエンド(ユーザーから見えない部分のデータ処理)というものをなるべくスムーズに繋ぐというのが我々のミッションです。
将来的に、全世界にアンテナを建設する予定です。グローバルな視点でいうと、日本は非常に有利な立場であると言えます。もともと宇宙産業は技術的な基盤がありますし、通信の業界でも信頼されている国の一つです。また、今後アジアの地域は人口が増えていく中で、人工衛星のソリューションのマーケットになってくると思います。つまり、インフラも販売パートナーも必要になってくるというマーケットの伸び代があります。これらの優位性が日本にはあるので、アジアに事業参入をしたいというときに「まずは弊社に相談しよう」と言われるような立ち位置を確立したいと思います。また地上局は新規の設計で、なるべくクラウドからすぐ使える、既存のクラウドのバックエンドやアーキテクチャに柔軟に対応できるようなモダンな設計を目指し、お客様のニーズを満たすところを目指しています。
ぜひ弊社のサービスを、インフラを利用している事業者や、今後衛星を打上げる予定の企業などに利用していただきたいです。この「Skygate」を開発し、宇宙とクラウドをシームレスにしていきたいと思っています。私たちは今後、衛星データも普通のクラウドでスマホなどから入手できるような世界を実現する役割を担っていきます。
また現在、エンジニアやセールス事業開発など、様々な職種で採用を募集しております。
気になった方は、ぜひ下記のWantedlyのサイトよりご連絡をお待ちしております。
Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/company_7043528
以上、国内初となる完全クラウド型の人工衛星向け地上局「Skygate」について解説しました。今後、日本における衛星ビジネスの拡大に期待です。
Twitter:@skygate_tech_jp
Photo Credit: https://www.skygate-tech.com/