• HOME
  • 宇宙ビジネス
  • 《大分県》 大分の未来を展望する 大分経済同友会 -地方からの「宇宙」への挑戦 第4回- - SPACE Media

《大分県》 大分の未来を展望する 大分経済同友会 -地方からの「宇宙」への挑戦 第4回-

2021年118日、大分県を始めとした地方自治体の知事が岸田首相と面会し、宇宙産業の推進・支援を求める「地方からの『宇宙』への挑戦に係る要望・提言」を提出しました。世界の宇宙産業は2040年代までに120兆円規模になると予測され、日本でも国や大企業だけでなく、地方自治体による宇宙産業の推進が進んでいます。

 

SPACE Mediaでは宇宙産業×地方自治体にフォーカスし、全国で宇宙産業の推進を精力的に進める地方自治体と地域の企業の取り組みについて連載で紹介します。

 

 

4回の今回は、地域の企業経営者が集まり、地域産業の活性化を促進させるために将来の展望等の提言活動等を行う大分経済同友会 クリエイティブ大分委員会の有松一郎委員長、尾野文俊アドバイザーにお話を伺いました。

 

大分経済同友会の活動と役割

経済同友会という言葉を聞いたことがありますでしょうか。経済同友会は、企業経営者が集まった経済団体であり、都道府県単位で設立されています。その始まりは戦後の1946年で、経済社会の諸課題に関して特定の企業や業界の利害に捉われない立場から自由に議論し、社会に対する提言をすることを主な活動としています。また、現在はほとんどの都道府県に存在しており、大分県で活動しているのが1955年に発足した「大分経済同友会」です。

 

そんな大分経済同友会がコロナ時代における地域ビジョンの再構築を目的として、202010月に発表した提言が「アフターコロナをみすえた大分県観光の再生に向けて~2025年の『NEW OITA!』を展望する~」です。この提言は以下の2つからなります。

提言「アフターコロナをみすえた大分県観光の再生に向けて~2025年の『NEW OITA!』を展望する~」を引用

http://www.oita-doyukai.jp/teigen/upload/20201023%20%20teigen%20.pdf

 

特に、「テックツーリズムへの挑戦」では大分空港のスペースポート化に大きな期待をしていることが言及されており、スペースポートの誘致を起点としたテックツーリズムによる、大分県の観光再活性の重要性が提言されています。

 

スペースポートを起点としたテックツーリズムへの挑戦

大分経済同友会としても大変注目しているスペースポートですが、スペースポートの実現に向けた期待と課題を伺いました。

―有松氏

スペースポートが実現することで、人工衛星を打ち上げることが可能になり、人工衛星関連ビジネスの集積と振興には期待しています。具体的には、主に打ち上げ前後で多くの関係者が大分に来ることになり、観光業や飲食業等、間接的な産業振興に繋がると考えています。また、大分空港のコンセッション事業化や、将来的には有人宇宙飛行の拠点としての利用を実現するなど、他地域との強い差別化も可能になると考えています。

 

しかし、スペースポートをきっかけに大分に来る人たちの需要がどこにあるのか、何をすれば満足してもらえるのか、また実際にどれだけの人が来るのかを見極めていく必要があると考えています。

 

―尾野氏

大分空港は、我々の提唱するカルチャーツーリズムや特にテックツーリズムの拠点になると考えています。そして単なる交通の拠点だけでなく、観光産業拠点という機能を持つことを期待しています。しかしながら、2次交通のインフラが未整備という課題もあります。

 

スペースポートに関連する産業の集積やインフラ整備などにより、少子高齢化・過疎化が進む国東市にあって若者が地域を離れず、夢や希望をもって働ける産業基盤となることを期待しています。


大分空港と国東半島 CreditSPACE Media編集部

 

大分県の観光分野におけるビジョン

スペースポートの話題が挙がる前から、大分経済同友会では大分県の地域振興、観光振興に向けて様々な提言をしています。

 

―尾野氏

過去に遡ると、2010年ごろに大分市中心市街地の衰退が懸念されていた中で、2015年を目標に県都大分の創造的なまちづくり(創造都市)の推進を提言しました。そして2015年夏には全県を対象とする観光キャンペーン「おんせん県おおいたデスティネーションキャンペーン」を開催するに至りました。

その後、次の目標を2020年に定めて、創造都市を県内全域に広げる「創造県おおいた」を提唱しました。結果、2018年には国民文化祭/全国障害者芸術・文化祭を開催し、大分県におけるカルチャーツーリズムのきっかけが生まれました。

そして、2020年にスペースポートの話が出てきました。これまで集積したカルチャーツーリズムと、今後のスペースポートを起点としたテックツーリズム―これらの2つの軸で、コロナ禍により低迷した大分県の観光の復興を確実なものにしていくべきだと考えています。

提言「アフターコロナをみすえた大分県観光の再生に向けて~2025年の『NEW OITA!』を展望する~」を引用

http://www.oita-doyukai.jp/teigen/upload/20201023%20%20teigen%20.pdf

 

宇宙への多様な関わり方を見つける

最後に、宇宙産業に関与することを検討している地域の企業の皆さんに向けてコメントをいただきました。

―有松氏

人工衛星の打ち上げに直接的に関係することと間接的に関係すること―多様な関わり方があり、市場にも大きな可能性があると考えています。具体的にどのような可能性があるのか、みんなが一緒に検討し共有出来ればと思います。また、それぞれの会社だからこそ可能な関わり方を見つけて、挑戦して欲しいと考えています。

 

・取材協力

大分経済同友会 常任幹事/クリエイティブ大分委員会 委員長 有松一郎様(社会福祉法人 大分県福祉会 理事長)

大分経済同友会 常任幹事/クリエイティブ大分委員会 アドバイザー 尾野文俊様(鬼塚電気工事株式会社 代表取締役社長)

 

SPACEMedia編集部