宇宙で活用される日本の折り紙技術とは

ロケットは人や物を運ぶために宇宙に打ち上げられます。そして、運搬される物は、ロケットの先端部分である“フェアリング”という部分に収納されます。しかし、この“フェアリング”には制約条件があり、物理的に広さが制限されている空間になっています。宇宙では大型な物を作ることが多いため、いかにサイズをコンパクトにして打ち上げるか、ということが重要なポイントとなってきます。

引用出典
十亀昭人「シェル状形態を形成する3次元展開構造物の概念と幾何特性」
(東京工業大学博士学位論文、2000)


そこで鍵となってくる技術が、“三次元展開構造物”です。“三次元展開構造物”とは、コンパクトに折り畳められたものが広がりながら立体的に展開する物であり、世界の中でも日本は特にこの技術が進んでいると言われています。日本の折り紙の技術を応用しており、衛星の電池パネルの展開にも折り畳み技術が使われています。日本の折り畳み技術は、平面から大きい平面に展開する「ミウラ折り」というものと、平面または立体から三次元へと展開する「ソガメ折り」という2つの技法が代表的です。「ミウラ折り」は、三浦公亮氏(東京大学名誉教授・文部科学省宇宙科学研究所)が考案した技法です。三浦公亮氏は宇宙構造物の設計家であり、主な作品として、宇宙実験衛星(SFU)の太陽電池パネルや電波天文衛星「はるか」の大型宇宙アンテナなどの設計があります。この三次元展開構造物の技術は、NASAのアルテミス計画や宇宙太陽光発電SSPSにも活用されようとしています

 

Photo credit: JAXA

石松慎太郎・十亀昭人「宇宙環境下での利用を目的とした筒状剛体展開構造物の研究」

SPACEMedia編集部