空もすっかり秋めき、高い雲が頻繁に見られるようになりました。そんな秋の雲より上空に、「夜光雲(やこううん)」という雲が発生することをご存知でしょうか。今回は、そんな夜光雲についてご紹介します。
目次
夜光雲とは
夜光雲は地球上で最も高い上空に、日の出前や日没後に現れる珍しい雲といわれます。通常、雲は地上から高度10㎞にかけて発生しますが、夜光雲は高度75kmから85kmにかけて発生します。このように高い高度で発生した雲には、日の出前や日没後もしばらく太陽光が当たりつづけます。すでに太陽光が当たらず暗くなった地上からも、キラキラと輝いて見えるために、「夜光雲」と呼ばれます。
ロケットによる夜光雲
普段は高緯度地方で自然に発生する夜光雲ですが、近年はロケットを原因とする人工的な夜光雲にも注目が集まっています。ロケットによる夜光雲には2種類あります。それは、「ロケットの噴煙が太陽光を反射して見える雲」と「ロケットの排出物が大気と反応して光る雲」です。前者が見える仕組みは自然の夜光雲と同じですが、後者はロケットならではの雲といえます。また、後者では赤色や青色の光が見られることがあり、ロケットの噴煙によるものではなく、ロケットを分離する際の火薬によるものだと推測されます。注釈(1)
日本のロケットによる夜行雲の例
では、ロケットによる夜光雲はどのようなものなのか、実際に見てみましょう。
① 2017年1月24日・H-IIAロケット32号機
16時44分打上げ、写真は18時15分ごろ撮影されました。打上げから1時間以上経過後も、夜光雲の姿を見ることができました。この写真は種子島宇宙センターから150kmほど離れた地点から撮影されたものですが、この夜光雲は1000kmほど離れた関東地方からも鮮明に見ることができ、SNS上でも話題になりました。
② 2018年1月18日・イプシロンロケット3号機
6時6分打上げ、写真はそれぞれ、6時10分、6時35分に撮影されました。1枚目には第2段の噴煙が太陽光に反射する様子が写っており、2枚目には、ロケットの排出物が太陽光に反射したり、自ら赤色に光る様子が捉えられています。
③ 2020年11月29日・H-IIAロケット43号機
16時25分打上げ、写真は17時00分ごろ撮影されました。低い灰色の雲の切れ間に、細く伸びる夜光雲の様子を見ることができます。この写真は種子島宇宙センターから10km離れた地点から撮影されたものですが、この夜光雲も関東地方から鮮明に見ることができました。
今回は、高い空に現れる不思議な「夜光雲」についてご紹介しました。日の出前や日没後にロケットが打ち上げられる際は、ぜひ空にも注目してみてください。
⑴ロケット打上げに伴う夜光雲についての考察 NVS
SPACE Media編集部