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スターライナーがISSに到着、スターシップ4回目の試験飛行… 6月初旬の大型ミッションを紹介

米国東部時間6月5日午前10時52分、ボーイング社の有人飛行試験「Boeing’s CST-100」として、宇宙船スターライナーを搭載したユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社のロケット「アトラスV」がフロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられた
Photo credit: Boeing / Joey Jetton

アメリカ時間の2024年6月5日、航空大手ボーイングの宇宙船「スターライナー(Starliner)」の打ち上げが行われ、続く6日にはスペースXの大型ロケット「スターシップ(Starship)」の4回目の試験飛行が行われた。

宇宙開発で世界の先陣を切るアメリカで、相次いで行われた大型宇宙ミッションを紹介する。

ISSへの新たなクルー輸送の手段となるか、ボーイングの「スターライナー」

米国東部時間の6月5日午前10時52分、フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から、ボーイングの宇宙船「スターライナー」が無事打ち上げられた。

今回の打ち上げは「有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)」と呼ばれるもので、NASAの宇宙飛行士、バリー・“バッチ”・ウィルモアと、スニタ・“スニ”・ウィリアムズの2名が搭乗。スターライナーは打ち上げから約26時間後の6月6日午後1時34分に国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。2名のクルーはISSで約1週間過ごした後、地球に帰還する。

打ち上げからISSへのドッキング、地球帰還までが完了すれば、スペースXの「クルードラゴン」、ロスコスモスの「ソユーズ」といった宇宙船に続く、有人宇宙輸送手段としての検証作業が一歩進むことになる。

「スターライナー」のCFTは、当初5月上旬に予定されていたものの、打ち上げ直前で不具合等が発見されるなどして複数回延期され、今回ようやく打ち上げとなった。結果的にISSにドッキングできたものの、NASAのブログによると飛行中にもヘリウムの漏れやスラスター(推進装置)の不具合が発生したとされており(参照)、システムや装置のいっそうの安全性・安定性向上が求められることになるだろう。

4度目の正直? 再突入に成功したスペースXの「スターシップ」

スターシップ打ち上げ時の様子
Credit: SpaceX 公式X

翌日、6月6日午前7時50分(米国中部時間)にテキサス州のスターベースから打ち上げられたのが、スペースXの大型ロケット「スターシップ」。

スターシップは第1段のブースター「スーパーヘビー」と合わせると全長120mにも及ぶ大型宇宙船。これまでに3回、試験飛行が行われてきたが、途中で機体が分解するなどして完全な成功には至っていないものの、2024年3月の3回目の飛行試験で宇宙空間に到達するなど、改善が続けられてきた。

「スターシップ」飛行試験の様子
Credit: SpaceX 公式X
「スーパーヘビー」着水の様子
Credit: SpaceX 公式X

今回の飛行試験では、「スーパーヘビー」は第2段のスターシップを分離後、打ち上げから7分24秒後にメキシコ湾に着水。スターシップも打ち上げから1時間6分後にインド洋に着水し、同社が掲げる完全再利用可能な宇宙輸送システムに近づいたことになる。

先日、スターシップ開発の遅れなどを理由として実業家の前澤友作氏(参考記事)が月周回旅行のプロジェクト「dearMoon」の中止が発表されたことは残念だが、それでも開発は着実に進んでいるといえる。

宇宙輸送手段の多様化・安定化は、輸送コストの低下をもたらし、宇宙旅行や、研究目的での宇宙ステーション滞在など、新たな需要を生むことになるだろう。今後の開発の進捗からも目が離せない状況だ。

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