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中国の商用衛星企業「長光衛星技術有限公司」が 光学衛星コンステレーション「吉林1号」の拡大を発表

Credit: CNSA/OurSpace

中国のオンラインメディア大手「新浪」は2022年10月27日、中国の商用衛星企業「長光衛星技術有限公司」(Changguang Satellite Technology Co., Ltd.)が、光学衛星コンステレーション「吉林1号」(Jinlin-1)の基数を当初予定の138基から300基まで拡大することを報じました。

 長光衛星技術有限公司は、吉林1号を2025年までに138基の衛星コンステレーションとし、10分に一回の頻度で地球上の任意の箇所を観測することを目標としていました。長光衛星技術有限公司はこの計画の期限を2023年に前倒しし、新たに2025年までに300基の衛星コンステレーションを構築することで、地球上のすべての場所を一日に一回観測できる体制を目指すことを明らかにしています。

吉林1号の衛星コンステレーションについて

 吉林1号は2015年に最初の衛星が打ち上げられ、2022年10月現在、75基の衛星で構築されたコンステレーションによりデータ収集を行っています。その中で最も基数が多いのが、「高分03D」(Jinlin-1 Gaofen 03D)衛星です。同衛星は、近赤外線を含むマルチスペクトル画像を収集する40 kg程度の小型衛星で、パンクロマチック画像を0.75 mの分解能で17 kmの観測幅の撮像が可能です。他には、より高分解能である0.5 mの分解能で150 kmの観測幅の撮像が可能な大型衛星「広幅01B/C」( Jilin-1 Kuanfu-01 B/C)や、赤外線放射を検知する「紅外A」(Jilin -1 Hongwei A)があります。このように、吉林1号のコンステレーションは、高解像度光学衛星を基盤とした衛星群で構成されており、同衛星群から取得されるデータは農業、林業、海洋事業、環境保全、都市計画といった多様な用途で活用されます。

中国の観測衛星の動向について

中国は宇宙への投資を国家の重要課題と位置付けおり、2014年から宇宙部門の一部を民間に開放しました。また、2022年1月に国家航天局(CNSA:China National Space Administration)が発表した宇宙白書では、今後5年間にわたり宇宙応用産業の育成・拡大を行い、宇宙技術のビジネス利用を加速させることを発表しています。ロケット打ち上げ企業ではLandspace、iSpace、Galactic Energyなどが、また、観測衛星企業としては中国四維測絵技術総公司や長光衛星技術有限公司が台頭してきており、ロケットの打ち上げ回数や保有衛星数を増加させています。

その中で存在感を発揮している企業が、今回吉林1号のコンステレーション拡大を発表した長光衛星技術有限公司です。2020年11月には約400億円の資金調達を達成し、吉林1号衛星群のハイスピードな製造と打ち上げを実現しました。

中国は、独自の測位衛星である「北斗」(BeiDou)や宇宙ステーション「天宮」(Tiangong)の構築を進めており、地球観測衛星によるリモートセンシングの分野がこれに加わることで、宇宙のほぼ全ての分野で世界をリードする存在となりそうです。

参考文献

新浪:“吉林一号”卫星星座新目标:具备24小时覆盖全球能力
https://finance.sina.com.cn/tech/discovery/2022-10-27/doc-imqqsmrp3989692.shtml

Space News:Chinese commercial remote sensing satellite firm to double size of constellation
https://spacenews.com/chinese-commercial-remote-sensing-satellite-firm-to-double-size-of-constellation/

このニュースは文部科学省の令和4年度地球観測技術等調査研究委託事業「将来観測衛星にかかる技術調査」の一環で配信しております。