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H3ロケット開発「最終段階」 第1段CFT実施

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H3ロケットCFTの様子(Credit:JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月7日、種子島宇宙センターにおいてH3ロケット試験機1号機1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)を行いました。試験は概ね予定通り行われ、2基のLE-9エンジンは約25秒間燃焼しました。この記事では、H3ロケットとCFTの概要、その様子についてご紹介します。

H3ロケットとは

H3ロケットは、現在運用されているH-IIAロケットの後継機として開発が進んでいる大型液体ロケットです。世界の打上げ需要を見据え、柔軟性・高信頼性・低価格の実現を目指しています。全長は63m(ショートフェアリング搭載時は57m)、直径は5.2mです。第1段メインエンジン「LE-9」の基数や固体ロケットブースタの本数、衛星を保護するフェアリングの大きさが異なる4種類の形態があり、幅広い需要に対応することができます。※1 試験機1号機はエンジン2基・ブースタ2本・ショートフェアリングの「H3-22S」形態で打上げられます。当初は2020年度の打上げを目指していましたが、新規開発のLE-9エンジンに亀裂や振動などの問題が発生し、打上げ時期は2回延期されました。現在は2022年度中の打上げを目指し、開発が進められています。

H3ロケット全4形態 試験機1号機は左から2番目の形態で打上げる(Credit:JAXA)

CFTとは

CFTは「Captive Firing Test」の略です。文字通りロケットを発射台に固定して行うエンジン燃焼試験であり、H-IIAロケットの開発でも実施されました。目的は2つあります。1つ目は、推進薬タンクとLE-9エンジン、それらを繋ぐ配管やバルブからなる第1段推進系の機能・性能を、エンジンを実際に燃焼させて確認すること。2つ目は、機体と地上設備を組み合わせた全システムの一連の作業を通して、機能や作業性、手順を確認すること。この際、2021年3月に実施した極低温点検からの反映事項も確認します。検証項目は主に3種類あり、1つ目は射点へのロケットの移動や推進薬充填などの準備機能、2つ目はエンジン着火を含むカウントダウン機能、3つ目はエンジン燃焼や燃焼中の推力方向制御・振動・音響などの飛行中機能です。これらのデータを取得して試験結果を評価し、試験が無事終了できることを確認します。

CFTではフェアリングと機体、エンジンはすべて試験機1号機フライト用のものが使用されています。フライト時と異なる点は、2本の固体ロケットブースタが装着されていないこと、ロケットと発射台がX-0(カウントダウンにおける打上げ時刻)以降も固定されていることです。

射点上のH3ロケット 段間部にCFTデータ計測用の配線が見える(撮影:加治佐匠真)

CFTの様子・結果

6日18時30分より機体移動が行われ、機体は射点へと移動。当初X-0時刻は7日7時30分に予定されていましたが、データ計測装置の電源が投入されていないことが確認され、電源投入に伴う追加作業のため、最終的に16時半となりました。カウントダウンは進み、X-6.3秒(打上げ時刻6.3秒前)にエンジンがスタートし、計画値である25秒の燃焼が行われました。着火直後、轟音とともにロケット下部から勢いよく水蒸気が噴き出し、瞬く間にロケットの高さを追い越すほどの大きさになりました。燃焼終了後の管制棟・司令棟では、拍手が沸き起こったといいます。現時点では、3種類の検証項目全てにおいて良好にデータが取得され、想定した状態で機能が動作したことが確認されています。今後2週間ほどかけて詳細なデータ分析が行われ、問題がなければ次の目標=試験機1号機打上げに向けた作業が進行していきます。

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CFTの様子 機体下部にエンジン燃焼時の炎が見える(Credit:JAXA)

この記事では、7日に行われたH3ロケットCFTの概要とその様子についてご紹介しました。詳細な分析結果と、今年度中に予定されている試験機1号機の打上げに注目です。

※1 JAXA「H3ロケットとは」https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/h3/outline.html