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ISSで液漏れのソユーズ、2月に新たな無人宇宙船打上げへ

ロシアの国営宇宙開発企業Roscosmos(以下、ロスコスモス)は、3月に飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へと送り込むために用意していた「ソユーズMS-23」宇宙船の打上げを1か月前倒し、2023年2月20日に無人で打上げることを明らかにしました。冷却液漏れ事故を起こした「ソユーズMS-22」宇宙船は、国際宇宙ステーション(ISS)から無人で地上へ帰還させ、再突入時に内部温度がどのような状況になったかを確認する予定だとしています。

ソユーズ MS-22 乗組員船は、2002 年 10 月 8 日、国際宇宙ステーションがヨーロッパ上空 264 マイルを周回する際にラスベット モジュールにドッキングされた前景に描かれています。
Credit:NASA

「ソユーズMS-22」宇宙船の冷却液漏れ事故の概要

「ソユーズMS-22」宇宙船は2022年9月21日夜(日本時間)、ロシアのセルゲイ・プロコピエフ飛行士とドミトリー・ペテリン飛行士、米国のフランク・ルビオ飛行士の3人を乗せ、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打上げられました。打上げから約3時間後「ソユーズMS-22」は無事軌道へ投入され、ISSにドッキングしたことが確認されていました。しかし同年12月15日、機体後部にあるラジエーターから、突如として冷却液が漏れ出すトラブルが発生。漏れ出した冷却液は人の手で止めることができず、ほぼ全ての冷却液が失われたとみられています。

予定では2023年3月28日に、乗ってきた3人の飛行士を乗せ「ソユーズMS-22」で地球に帰還することになっていましたが、ロスコスモスの有人宇宙飛行プログラム担当者クリカレフ氏は「排熱能力を失ったソユーズMS-22をクルーとともに着陸させようとすると、熱条件が最大の問題になる」とし、「ソユーズMS-22」による飛行士の地球帰還は困難であると結論付けました。

冷却液漏れ事故の原因は「隕石衝突」

「ソユーズMS-22」で発生した冷却液漏れ事故について、米航空宇宙局(NASA)とロスコスモスは共同で調査にあたり、ISSの船外カメラで損傷箇所の写真を撮影するなどして分析を実施。クリカレフ氏によると、ソユーズの外壁部に約0.8mmの穴が開いているのが確認され、この穴は、微小隕石が毎秒約7kmで宇宙船に衝突したために引き起こされた可能性が高いということです。

ISSでの滞在期間が約1年間になる可能性も

同年2月20日に「ソユーズMS-22」の代替船として無人で打上げられる「ソユーズMS-23」は、ISS到着後、座席や物資などを「ソユーズMS-22」から移動させる作業を実施。「ソユーズMS-22」については、無人でISSを出発し、カザフスタン共和国の草原地帯にある、あらかじめ設定された着陸地点への着陸を試みるとしています。「ソユーズMS-23」の帰還日は決まっていませんが、3人の宇宙飛行士がISSを離れられるのは、追加の3人がISSに到着してからとなるため、同年9月下旬まではISSで滞在し続ける可能性もあるということです。