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「アルテミス1」ミッションからマネキンたちが帰還!

米航空宇宙局(NASA)の月探査ミッション「アルテミス1」にて、宇宙船オリオンに搭載された3体のマネキンが内部から回収されました。船長役の「Campos(カンポス)」をはじめ、「Helga(ヘルガ)」と「Zohar(ゾーハ)」の3体のマネキンは、新宇宙が人体に及ぼす影響や、放射能遮断ベスト「AstroRad」の人体を守る能力を確かめるため、今後詳しく分析されるということです。

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2023 年 1 月 10 日、フロリダ州ケネディ宇宙センターの宇宙ステーション処理施設内にある、NASA のアルテミス I ミッションのセンサー付き代役であるムーニキン カンポス司令官が輸送箱に詰め込まれています。
Credit:NASA/Cory Huston

オリオンは2022年11月16日午前(米東部時間)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」初号機で打上げられました。今回のミッション「アルテミス1」では、オリオンが地球に帰還する際の高温に耐えられるかどうかや、内部に搭載したマネキンを使って、飛行で発生する加速度・振動・放射能露出量などの調査を実施。予定通り調査を終えたオリオンは同12月11日、カリフォルニア沖の太平洋へと着水し、その後、米海軍の揚陸艦「USSポートランド」によって無事回収されました。

なお、オリオンは 遠方逆行軌道を周回中、地球から43万5,000キロ離れた場所に到達し史上最遠記録を更新しました。

マネキン3体のさらなる分析を実施

同12月30日、ケネディ宇宙センターに到着したオリオンのクルーモジュールは、搭載物の取り出し作業および各部の検査が行われました。

オリオンに搭載されたマネキン「Campos(カンポス)」「Helga(ヘルガ)」「Zohar(ゾーハ)」の3体は、宇宙船の回収後となる2023年1月10日にケネディ宇宙センターにて梱包箱に収納。今後、「Campos」はNASAのジョンソン宇宙センターにて、取り付けられたセンサーや計測器のデータをもとに、飛行で発生する加速度や振動などの分析が予定されています。また「Helga」と「Zohar」は取り付けられた放射能検出器をケネディ宇宙センターで回収した後、ドイツ航空宇宙センター(DLR)へと搬送され、放射能遮断ベスト「AstroRad」の分析が行われるということです。

After a 25-day flight beyond the Moon and back inside the Artemis I Orion crew module, two manikins undergo post-flight payload inspections inside the Space Station Processing Facility at Kennedy Space Center in Florida on Jan. 11, 2023. As part of the Matroshka AstroRad Radiation Experiment (MARE) investigation, the two female manikins – Helga and Zohar – were equipped with radiation detectors. Zohar also wore a radiation protection vest, to determine the radiation risk during the Artemis I mission and potentially reduce exposure during future missions with astronauts. The detectors will be removed at Kennedy and the torsos will return to teams at the German Space Agency for further analysis. Artemis I Orion launched atop the Space Launch System (SLS) rocket from Kennedy’s Launch Complex 39B on Nov. 16, 2022, at 1:47 a.m. EST. During the flight, Orion flew farther than any spacecraft built for humans has ever flown, paving the way for human deep space exploration and demonstrating NASA’s commitment and capability to extend human presence to the Moon and beyond. The primary goal of Artemis I was to thoroughly test the SLS and Orion spacecraft’s integrated systems before crewed missions. Under Artemis, NASA aims to land the first woman and first person of color on the Moon and establish sustainable lunar exploration.
Credit:NASA/Kim Shiflett

2024年の有人ミッションに向けて

2024年5月に予定されている有人月飛行ミッション「アルテミス2」では、オリオン宇宙船に4人の宇宙飛行士を乗せて今回と同じ軌道に入ることが予定されており、その際「アルテミス3」で宇宙飛行士が月に降り立つための着陸候補地の調査が行われます。

なお、今回の「アルテミス1」で得られた放射線や加速度の分析結果は、「アルテミス2」や今後のミッションに活用されるということです。