2022年11月16日にアルテミス計画の第1弾として打上げられた新型宇宙船「オリオン」。米航空宇宙局(JAXA)によると、同月28日、人を乗せて往還するための宇宙船としては最も地球から遠い43万5,000キロを飛行したと発表しました。宇宙船オリオンが記録を更新するまでは、1970年に打上げられたアポロ13号の40万171キロが最高であり、今回52年ぶりに飛行記録を塗り替えたことになります。オリオンは現在、地球に戻る軌道に入っており2022年12月11日に地球への帰還を予定しています。
宇宙船オリオンの軌道
オリオンは米東部時間2022年11月16日未明、フロリダ州のケネディ宇宙センターから新型ロケットSLSで打上げられました。同月21日には、月の裏側で月面に約81マイル(約130キロ)まで接近して軌道修正したのち、DRO(Distant Retrograde Orbit、遠方逆行軌道)と呼ばれる月の公転方向に逆行するような周回軌道に到着。同月26日には、1970年のアポロ13号がつくった有人飛行船の地球から最も遠い距離までの飛行記録を追い抜きました。さらに同月28日、宇宙船オリオンは地球から43万5,000キロ離れた場所に到達し史上最遠記録を更新したことを発表されました。NASAは深宇宙環境でオリオン宇宙船の各種点検を行った後、2022年12月2日にエンジン噴射を実施して、宇宙船オリオンをDROから離脱させました。同月5日、オリオンは月に2回目の接近を行い帰還動力フライバイ燃焼を実施。NASAによると、同月11日に予定されている着水は天候を考慮し、最初の着水予定の南にあるグアダルーペ島近くの太平洋に決定したと発表しました。
アルテミス1の目的と今後のミッション
アルテミス1は、新型ロケットSLSと新型宇宙船オリオンなどを使った最初のミッションです。今回の飛行の目的は、オリオン宇宙船の限界を試し有人飛行の安全性を確認するというもの。宇宙船オリオンの着水が予定通りに進めば、今後は第2弾として「アルテミス2」の計画が進められます。アルテミス2の宇宙船は、4人の宇宙飛行士を乗せて今回と同じ軌道に入ることが予定されていますが、月面着陸は行わずにそのまま地球に帰還するというものです。また、NASAは2025年に第3弾として、宇宙飛行士の月面着陸を目指しており、着陸候補地を13カ所に絞ったことを発表しました。人類が月に降り立つのは半世紀ぶりとなるため、今後の動きに期待が高まります。