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H3ロケット初号機「だいち3号」に相乗り搭載の2波長赤外線センサ、防衛省が宇宙で実証実験は初

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年2月1日、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから同月13日打上げ予定の新型基幹ロケット「H3」初号機に搭載する地球観測衛星「だいち3号」について説明会を実施しました。防衛省が開発を進める「2波長赤外線センサ」は「だいち3号」に相乗り搭載され、今後、宇宙空間では初となる実証実験が行われるということです。

先進光学衛星「だいち3号」
Credit:JAXA

「だいち3号」の概要

「だいち3号」は、2011年5月に運用を終えた陸域観測技術衛星「だいち」の光学観測ミッションを引き継ぐ地球観測衛星です。広い観測幅(70km)と高い地上分解能(0.8m)を両立させた光学センサで地表面を広く観測できることから、主に災害時の被災地把握や火山監視に活用されます。従来機よりも解像度が3倍以上になることに加え、観測波長帯が新たに2つ追加されるなど高性能化したことで、災害時対策以外に林業や水産業での活用も期待されています。

衛星搭載型2波長赤外線センサについて

防衛省が開発を進める「2波長赤外線センサ」は中赤外線と遠赤外線という2つの領域の波長帯を利用し、ミサイルや航空機の排出ガスなど高温な熱源を昼夜問わず探知・識別できる画像センサです。2波長の画像を融合させることで、燃焼による一酸化炭素や二酸化炭素の炭酸ガスを鮮明に捉え、ミサイル本体の形状と排出ガスを明確に判別します。

2つの波長帯の赤外線を検知する技術は世界初で、防衛省は弾道ミサイルの発射検知などへの活用を見据え、宇宙での初めての実証実験に乗り出します。

防衛省はこれらの実証実験で得られたデータを蓄積し、飛行体の赤外線特性などをデータベース化することも視野に入れているということです。

JAXAの匂坂雅一プロジェクトマネージャは「できるだけ早く衛星を打上げてもらい、画を早く出せるように全身全霊で頑張りたい」と話しました。