米国とインドの両政府は2023年1月31日(米東部時間)、米印重要・新興技術イニシアチブ(iCET)の第1回会合を米国の首都ワシントンで開催し、インドの宇宙飛行士の訓練や商用月面着陸船のペイロードの飛行など、宇宙開発に関する協力を拡大すると発表しました。
ホワイトハウスにて発表された声明によると、米国とインドはNASAのジョンソン宇宙センターにて、インドの宇宙飛行士の訓練を実施するということです。この訓練について、時期や内容は明らかにされていません。
iCETは、2022年5月に日本で開催されたジョー・バイデン大統領とナレンドラ・モディ首相との首脳会談にて発足が合意された取り組みで、先端技術分野における両国の産学官連携の緊密化を目的としています。
第1回会合は、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)とインドのアジト・ドバル国家安全保障担当補佐官が議長役を務め、米国航空宇宙局(NASA)やインド宇宙研究機関(ISRO)のトップを含む科学技術分野の高官らが参加しました。
これまでインドは宇宙飛行士の訓練をロシアと協力して行っており、有人宇宙飛行計画「ガガンヤーン」の実現のため、2020年にはインドの宇宙飛行士数名をロシアのスターシティにあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターに派遣していました。
インドの宇宙開発を巡っては2018年にナレンドラ・モディ首相が「インド独立の75周年にあたる2022年8月までにガガンヤーン計画として宇宙飛行士を軌道へと打上げる」と宣言。しかし、予定されていた打上げは行われず、同年9月15日にジテンドラ・シン科学技術相が「有人宇宙船の打上げは新型コロナウイルスの影響により2024年に延期して実施する」と発表していました。
ガガンヤーン計画ではまず無人宇宙飛行テストを2回実施して宇宙研究機関(ISRO)が評価を行い、問題がなければ少なくとも2人の宇宙飛行士を載せた宇宙船を地球低軌道に向けて打上げる計画だとしています。
ホワイトハウスはまた、NASAとISROが協力して、NASAの商業月面着陸船での研究ペイロードに関する宇宙協力も拡大するとしています。