初号機打上げに向け、開発の重要マイルストーンを達成
宇宙輸送と宇宙利用を通じて地球の課題解決を目指す宇宙の総合インフラ会社インターステラテクノロジズ株式会社(以下、インターステラテクノロジズ)は2023年2月13日、超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」のフェアリング分離放てき試験(以下本試験)を同2月10日、福島ロボットテストフィールドにて実施したと発表しました。フェアリングは、ロケット先端部に搭載された人工衛星などを覆って保護するカバーで、上空で十分空気が薄くなった後は左右2つに分かれて切り離されます。本試験ではフェアリングが設計通りに分離し、機体から離脱するかを確認。今後は、本試験で得られたデータを元に、実機モデルの設計と製造に着手する計画です。
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衝撃を大幅緩和、衛星に優しい分離機構を採用
インターステラテクノロジズは、3度の宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」に続くロケットとして、超小型人工衛星用の小型ロケットZERO(長さ25m、直径1.7m、総重量33t)を開発しています。フェアリングは打上げ時の空気抵抗を減らし、高速飛行に伴う空力加熱などから人工衛星を守る役割があり、同社は衛星用として初めて開発する部品です。高さ3.6m、直径1.7mの円筒型で、素材には軽くて強度の高いCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用。分離機構には、海外の民間ロケット会社で主流となっている火薬を使わない装置(非火工品)が取り入れられています。これにより、フェアリング分離時の衝撃を大幅に緩和し、衛星に優しい設計となっています。
また、本試験は株式会社フォトロンの協力のもと、高性能ハイスピードカメラによる高解像度のスローモーション映像を撮影。今後 専用のソフトウェアを使って画像解析を行っていくということです。
宇宙を日本の次の成長産業に、福島県では2ヶ年で累計14社がロケット開発に参画
本試験は、インターステラテクノロジズが支社を置く福島県南相馬市で実施されました。福島県では原発事故で失われた浜通り地域の産業を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」が進んでいます。今後大きな成長が見込まれる宇宙産業はプロジェクトの重点分野の一つとなっており、同社は2021年7月に宇宙輸送機器メーカーとして初めて福島県に進出、2022年2月には福島県南相馬市と連携協定を結びました。本試験は「地域復興実用化開発等促進事業」で採択されたテーマ「民間企業による低コストな超小型人工衛星打上げロケットの開発」の一環で実施されたものです。
「ZERO」は、世界的に需要が大きく伸びている超小型の人工衛星を宇宙空間(地球周回軌道上)に運ぶための小型ロケットです。海外のロケット会社と引けを取らない国際競争力のあるロケットとして、初号機打上げに向けた開発・製造を進めています。自社で設計から製造、試験までを一気通貫しているのが特徴で、福島・東京支社ではフェアリングのほか、ロケットの姿勢を制御するジンバル機構、ロケットの頭脳に当たるアビオニクス(電子機器)の開発・製造を行っています。
福島県浜通り地域は従来より製造業に強みを持っており、2ヶ年で累計14社がインターステラテクノロジズのロケット開発・製造に新たに参画。インターステラテクノロジズは宇宙産業を日本の次の成長産業にすることを目指しており、今後もメイド・イン・ジャパンのロケット開発に取り組む考えです。
インターステラテクノロジズ株式会社について
インターステラテクノロジズは、低価格で便利な宇宙輸送サービスを提供することで、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指すスタートアップ企業です。北海道大樹町に本社を置き、東京支社と福島支社、室蘭技術研究所(室蘭工業大学内)の4拠点で開発を進めています。観測ロケットMOMOでこれまでに計3回、国内民間企業単独として初めて且つ唯一の宇宙空間到達を達成、次世代機となる超小型人工衛星打上げロケットZEROの開発を本格化させています。人工衛星開発の100%子会社Our Starsも設立し、国内初のロケット×人工衛星の垂直統合サービスを目指しています。
所在地 : 北海道広尾郡大樹町字芽武149番地7
代表者 : 代表取締役社長 稲川 貴大
事業内容 : ロケットの開発・製造・打上げサービスhttps://www.istellartech.com/