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NASAとAxiom Space、アルテミスⅢに向け次世代宇宙服のプロトタイプを公開

米航空宇宙局(NASA)とAxiom Spaceは2023年3月15日、2025年にNASAが計画している有人月面探査「アルテミスⅢ」ミッションにおいて、月の南極付近を探査する宇宙飛行士らが着用する宇宙服「Axiom Extravehicular Mobility Unit (AxEMU)」のプロトタイプを公開しました。

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Credit: Axiom Space

Axiom Spaceが開発中の次世代宇宙服「AxEMU」

NASAは2019 年10月に「Exploration Extravehicular Mobility Unit (xEMU)」と呼ばれる月面探査用宇宙服のプロトタイプデザインを発表していましたが、開発の遅れなどにより、2021年には次世代宇宙服の開発・製造を行う民間企業の募集を開始。その後、Axiom Spaceは「xEMU」の契約企業として選ばれ、2022年9月からNASAの「xEMU」のプロトタイプをベースに「AxEMU」の開発を進めていました。「AxEMU」は最新の技術を取り入れ、機動性を強化し、月での危険に対する保護機能が組み込まれています。

またこの次世代宇宙服は、着用者の視野を広げる透明なヘルメットバブルが特徴で、ライトやカメラも内蔵されています。NASAによると「AxEMU」は、月の地形を広範囲に探索するために必要な可動域と柔軟性を備えており、少なくとも米国の男女90%に適合するように設計されているということです。

今回公開された宇宙服「AxEMU」は実際に宇宙飛行士が着用するものではなく、独自のデザインを隠す目的で黒のカバーレイヤーが施されていました。Axiom Spaceは、実際に宇宙飛行士が月面探査で着用する宇宙服は太陽光を反射し、極端な高温から宇宙飛行士たちを保護できるよう白の外装が用いられると説明しています。

なお、「AxEMU」の完成品は2023年夏の終わりまでにNASAへ納入される予定です。

2025年に予定されている有人月面探査「アルテミスⅢ」

NASAが計画するアルテミスⅢは、2025年に人類初の女性、初の有色人種を含む宇宙飛行士を月面に着陸させるというミッションです。アルテミスⅢでは、月面上での科学的研究が主な目的となり、月表面の地形、資源、環境などの詳細な調査や、将来の有人月面基地の建設に向けて、技術の開発や実証実験が行われる予定です。 またアルテミスⅢは、長期的かつ持続可能な月面探査を目指すことで、将来の火星有人探査にもつながる重要な一歩として位置付けられています。なお、人類が月面に降り立つのは米国のアポロ計画以来、約50年ぶりとなります。