欧州宇宙機関(ESA)が主導し、日本も参加する大型木星氷衛星探査計画「JUICE」の探査機は2023年4月13日夜(日本時間)、南米フランス領ギアナ宇宙センターからアリアン5ロケットで打上げられます。目標軌道は高度1538kmで分離し、地球脱出軌道への投入が予定されています。
木星氷衛星探査機「JUICE」について
「JUICE」は、欧州宇宙機関(ESA)が実施する木星の氷衛星探査計画であり、2023年に打上げられ、2031年に木星系に到着予定です。この探査計画の主な目的は、木星のエウロパ、ガニメデ、カリストという3つの主要な氷衛星を研究し、それらの地質学的・化学的特性、内部構造、生命存在の可能性を明らかにすることです。また、木星の大気や磁場についても調査し、巨大ガス惑星の進化や磁場の生成機構に関する新たな知見を得ることなど、幅広い科学解明を目指しています。今回のミッションで研究対象となっている3つの氷衛星のなかでもエウロパ、ガニメデは地下に大量の水を保持する海の存在が確実視されており、生命を育む環境が現在も維持されている可能性が期待されます。
2031年7月に木星周回軌道に到達した後、3つの衛星のフライバイを繰り返しながら軌道を修正し、2034年12月にガニメデの周回軌道に投入される予定です。
日本が参加する観測装置の役割
このミッションはESAを中心に13か国の国際協力によって実施されます。探査機に搭載される11種類の観測機器のうち、日本は4つの機器でハードウェアの一部を提供。2つの機器で共同研究者として参加することになっています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発したレーザー高度計は、月探査機「かぐや」や小惑星探査機「はやぶさ2」の技術を応用してつくられています。この機器は、木星の衛星ガニメデの詳細な地形情報を収集し、木星の重力による変形を精密に測定することで、ガニメデの内部構造解明を目指します。
また、情報通信研究機構(NICT)が開発に参加したテラヘルツ分光計は、テラヘルツ帯の電磁波を用いて、木星の氷衛星の表面や大気の組成を調べるための装置。高感度かつ高分解能の分光能力を持ち、木星の氷衛星の表面や大気の成分を詳細に測定することができるほか、高速スキャン機能を備えており、広範囲の領域を効率的に観測することができます。