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ispaceの「HAKUTO-R」、サクセス8まで成功も着陸は確認できず

「HAKUTO-R」ミッション1マイルストーン詳細
Credit: ispace

途中で通信が途絶、月面への着陸は確認できず

月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップの株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史)は、4月26日未明に民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダー(月着陸船)による月面着陸を予定していましたが、同日8時時点においてランダーとの通信の回復が見込まれず、月面着陸を確認するSuccess9の完了が困難と判断したと発表しました。

成功すれば民間企業として世界初の月面着陸となる今回の挑戦に際し、同社では26日午前1時半頃から公式のYouTubeチャンネルにてライブ配信を実施。視聴者数は一時38,000を超えるなど、注目の高さがうかがわれました。

ランダーは月面へハードランディングした可能性

ispaceは26日午前に同社ホームページで発表した第二報にて、現時点で得られているデータに基づくと、東京日本橋のミッションコントロールセンター(地上管制室)にて、着陸シーケンスの終盤、ランダーの姿勢が月面に対して垂直状態になったことを確認したものの、着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータの確認には至らなかったと状況を説明しました。

その後、ランダーの推進燃料の推定残量がなくなったこと、および、データ上で急速な降下速度の上昇が確認され、最終的にテレメトリの取得ができない状態となりました。これらの状況から、ランダーは最終的に月面へハードランディングした可能性が高いと考えられています。

なお、これらの状況が発生した要因については、現時点ではこれまでに取得されたテレメトリの詳細な解析を実施している状況であるため、解析が完了次第、報告するとしています。

着陸には至らなかったものの、貴重なデータやノウハウを獲得

今回のミッション1では、打ち上げ準備の完了(Success1)から月面着陸後の安定状態の確立(Success10)まで、10のマイルストーンが設けられていました。

「月面着陸の完了」というSuccess9の達成ができないという判断にはなりましたが、10段階のうち、Success 8までのマイルストーンで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現するうえでの貴重なデータやノウハウなどを獲得することができた点は今後の宇宙開発において大きな糧になるといえます。

ispaceでは、「今回の結果を受けてもなお、不確定なリスクを恐れず、挑戦の歩みを決して止めることは致しません。2024年のミッション2、2025年のミッション3の技術成熟度を飛躍的に高めることを目指し、今回のサクセス8までの運用と着陸シーケンス中に取得されたとデータとノウハウを最大限活用していきます」と今後に向けた決意を示しています。

今回のミッションの詳しい読み解きと、今後の月面探査の方向性などについては下記の動画でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。