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国連、2024年未来サミットに向け宇宙空間のガバナンスに関する政策概要を公開

国際連合(UN)事務総長は2023年5月末、2024年に開催される「未来サミット」に向けて準備中の加盟国の審議を支援するために、宇宙空間のガバナンス強化のための政策概要「For All Humanity –the Future of Outer Space Governance(すべての人類のために ―宇宙空間ガバナンスの未来)」を公開した。本概要文書には平和と安全、宇宙交通の調整、宇宙ゴミ(スペースデブリ)、宇宙資源、深宇宙探査への新たな取り組みに関する提言が含まれている。

https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/our-common-agenda-policy-brief-outer-space-en.pdf

Credit: 国際連合ホームページ

国連の宇宙ビジョン「安全かつ持続可能な宇宙利用を実現するために」

アントニオ・グテーレス事務総長は2021年9月、国連75宣言(国連創設75周年記念に関する宣言)における総会からの要請に応え「Our Common Agenda(私たちの共通の課題)」と題するビジョンを発表した。
同ビジョンの目的は、2030アジェンダ(国際社会共通の目標・行動計画)の加速と、あらゆる場所の人々の生活における持続可能な開発目標(SDGs)の実現だ。

今回公開された概要文書は、同ビジョンの一環として宇宙空間に関する政策に焦点を当てて作成されたもので、持続可能性、安全性、安全保障の観点から重要な問題と課題を概説している。
具体的には、宇宙の持続可能性に影響を与える主要なトレンドの概要とこれらのトレンドがSDGsの達成にもたらすポジティブな影響のほか、宇宙空間の安全性に影響を与える主要な要因、さらにはこれらの課題が解決されない場合に人類にもたらすリスクについて示されており、これらは2024年の未来サミットで議論される予定だ。

<政策概要に含まれる項目>
・宇宙における新時代の幕開けと既存のガバナンス
 軌道上の人工衛星の増加、民間企業の参入における持続可能性、安全性、安全保障への影響

・宇宙利用のチャンス
 地球観測、通信、衛星測位、科学が宇宙の持続可能性に与えるポジティブな影響

・宇宙における挑戦・課題
 宇宙交通の調整、宇宙ゴミ、資源活動、宇宙防衛のガバナンス確立の重要性

・推奨事項
 短期および長期的なリスクを最小限に抑えるための実用的なガバナンスの推奨事項

本概要文書のなかでは、既存の国際宇宙法が十分に実施され、革新を推進しリスクを軽減するための効果的なガバナンスが確立されることの重要性が強調されている。

なお、国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉氏は自身のツイッターで本政策概要を以下のように紹介している。

宇宙産業が発展していくためには、その基盤として共通のルールやそれを取り決める仕組みが必要となる。
本概要文書は、国際連合の宇宙空間に関する政策に関心のある人々や機関にとって、宇宙空間の持続的な利用と安全保障の重要性を理解し、具体的な行動につなげるための貴重な情報源であり、来年開催される未来サミットでどのような議論がなされるかにも注目が集まる。