立命館大学は、月・惑星における人類の生存圏拡張と、将来的な居住・生活圏構築に先駆けた探査拠点となる宇宙開発・インフラ構築に取り組む日本初の研究組織「立命館大学宇宙地球探査研究センター（ESEC）」を2023年7月1日に設置すると発表した。
探査・開発フェーズに焦点を当てた日本初の研究組織
米航空宇宙局（NASA）のアルテミス計画をはじめ、欧州宇宙機関（ESA）などが進める、2050年に月に1,000人規模の村をつくるという「Moon Village構想」、火星への移住を見据えた持続的調査の展開など、宇宙に関する研究開発は、ロケット・人工衛星開発などの「発見型」の宇宙探査から、探査拠点・宇宙開発インフラを整備していくフェーズへと広がりを見せている。
発見型探査を第１フェーズ、探査拠点開発を第２フェーズ、将来的な宇宙での都市開発を第３フェーズとすると、ESECは人類の生存圏構築に向けて宇宙開発の現場を切り拓く第２フェーズにフォーカスを当てた研究組織。
人跡未踏の地に自ら探査・開発拠点を構築し、最先端の観測データをもたらすことを使命としており、第2フェーズに焦点を当てた組織としては日本初となる。
人類の生存圏拡張に向けた宇宙・地球両方からのアプローチ
日本では、JAXAが計画している小型月着陸実証機プロジェクト（SLIM）が2023年の夏以降に、月極域における水資源の存在・利用可能性の調査に向けた月極域探査ミッション（LUPEX）の打上げが2024年度以降に予定されるなど、宇宙における人間の生存圏に関わる研究に大きな期待が寄せられている。
ESECでは、月や火星を主たるフィールドに位置づけ「宇宙資源学の創成」に挑む。
具体的には、JAXAが計画しているSLIMやLUPEXの搭載機器の開発・運用をはじめ、月や惑星における測量、地質・地盤調査技術や月面基地建設に関する研究を推進していく。
また、将来的な宇宙探査の基盤となる、地球上でのフィールド探査においても、日本有数の拠点となることを目指す。
ESECはこれらの活動において、フロンティアに挑む多様な企業との連携のもと、月や惑星をフィールドとしたイノベーション創出と社会実装を進めていく考え。
センター長には佐伯和人氏が就任、25名を超える研究者が集結
センター長には立命館大学総合科学技術研究機構教授の佐伯和人（さいき・かずと）氏が就任。
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同機構の教授である𡈽山明（つちやま・あきら）氏と中川毅（なかがわ・たけし）氏、准教授の長岡央（ながおか・ひろし）氏、助教の仲内悠祐（なかうち・ゆうすけ）氏、また理工学部教授の小林泰三（こばやし・たいぞう）氏、テクノロジー・マネジメント研究科教授の湊宣明（みなと・のぶあき）氏など、学内から総勢25名を超える探査や拠点開発に関わる多様な領域を専門とする研究者が同センターに所属している。
センター長の佐伯氏は「ESECは、新天地である月や火星、『未知の未来の地球』に新たな価値観で資源を見いだし、荒ぶる自然環境に拠点を構築しつつ探査し、持続的な生存圏を構築する精鋭集団となり、人類の明るい未来を開いていく」とコメントした。
なお、ESECは公式WEBサイトを開設し、今後進めていくプロジェクトや宇宙地球探査に関する研究発表、イベントの情報などを発信していくとしている。
ESEC公式WEBサイトはこちら
https://esec.ritsumei.ac.jp/
