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Green CarbonのCO2削減プロジェクト、だいち2号の事業化実証に採択

高炭素固定種苗の研究開発をメインにCO2削減事業やカーボンクレジット(CO2などの排出削減量を企業間で売買できる仕組み)取引事業を展開するGreen Carbon株式会社(東京都港区、代表取締役 大北潤)は2023年7月19日、同社が提案した「だいち2号(ALOS-2)」データ活用によるカーボンクレジット創出プロジェクトが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が行う「JAXA ALOS-2 事業化実証」のテーマとして選定されたと発表した。
Green Carbonは、J-クレジット創出や海外のカーボンクレジット創出において、衛星データを活用した事業化実証を開始する。

Credit: Green Carbon株式会社

J-クレジットとは、CO2の排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認定する制度。同制度により創出されたJ-クレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセット(CO2などの排出量を相殺する取り組み)など、さまざまな用途に活用できる。

宇宙からの観測データでクレジット創出の工数削減を目指す

JAXA ALOS-2事業化実証は、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)のアーカイブデータを用いた事業の成立性を実証するもの。JAXAが2021年度から実施しており、民間主導による衛星データ利用の事業化を目指している。

Green Carbonは2023年3月1日、J-クレジットの運営委員会にて承認された「水稲栽培における中干し期間延長によるメタンガス削減とカーボンクレジット創出」の新たな方法論を活用すべく、翌4月に稲作コンソーシアムを発足させ、水田由来のJ-クレジット創出プロジェクトを進めてきた。

「中干し」とは、稲の栽培中、一時的に水田の水を抜き、田を乾かすこと。これにより土壌と空気が触れて嫌気性菌の活動が抑制され、メタンガスの排出量を削減する効果があるとされる。

同社は、J-クレジット創出にかかる農家の工数削減と水田圃場(ほじょう)のモニタリングに向けてJAXAの衛星データ活用を実証するとともに、モニタリングなどの分析をアジア各国の水田由来の温室効果ガス削減プロジェクトでも検証し、社会実装を目指す。

水位データとALOS-2の観測データをもとに実証を実施

同社は、圃場の水位データとALOS-2搭載の合成開口レーダー(SAR)による観測データをもとに以下の実証を行う。

1)中干し実施状況の把握/エビデンスデータとしての活用
ALOS-2の観測データを活用した圃場の水位モニタリングと現地に設置した水位センサーを比較し、衛星モニタリングの有用性を検証。これにより、農家の圃場の撮影工数を削減するとともに衛星モニタリングによりプロジェクトの信憑性を高め、クレジット創出過程における透明性向上を目指す。

2)過去2年間の平均中干し実施日数を推定するモデル構築
ALOS-2の衛星データを解析し、中干し期間延長の客観的エビデンスとしての活用を試みることで、J-クレジット登録の障壁の緩和や登録の信頼性向上を目指す。

3)排出量算定メカニズムの検証
衛星データを活用したメタンガス排出量算定メカニズムを活用し、フィリピン・ブラカン州にて検証を実施。既存のメタンガス排出量算出システムは、週に一度、現場での実測が必要であったが、衛星データを活用した算出方法では現場での実測による工数を削減できるほか、より客観的なデータを得ることができる。
同メカニズムを活用し、海外での効率的で客観性の高いカーボンクレジットの創出を目指す。

同社は、宮城県の登米市と栗原市、フィリピンのブラカン州にて、農家やJAXAなどと協力しながら実証作業を行う。