• HOME
  • 宇宙ビジネス
  • 宇宙事業のリスクに備えよう!「宇宙保険」についての解説 - SPACE Media

宇宙事業のリスクに備えよう!「宇宙保険」についての解説

テレビやインターネットを開くと、日々当たり前のように宇宙に関する新しい情報がアップされるようになった現在。昨年には、前澤友作氏が民間人として初めて宇宙旅行に行くなど、これからも多くの民間人、民間企業が宇宙関連事業に進出するでしょう。しかし、そんな現在でも、宇宙進出は未だにリスクが多いものです。したがって、民間や企業が宇宙でのビジネスを考える際には、あらゆるリスクを考えなければなりません。そのようなリスクに備えるため、近年は宇宙事業に対する「宇宙保健」が開発され始めています。本記事では、これからますます増え続ける宇宙ビジネスに必須となる、「宇宙保健」について解説します。すでに宇宙ビジネスに関心のある人、これから宇宙事業への進出を検討したい人は、ぜひチェックしておきましょう。

 

Credit :JAXA

宇宙に潜むリスクとは?

人工衛星、ロケット、旅行など、宇宙が次第に身近になってきた一方で、宇宙進出には未だ多くの障害があると言います。たとえば、毎年1,000機以上が打ち上げられているとされる人工衛星。宇宙の低軌道上には何千もの人工衛星が浮かんでいることから、衛星同士の衝突のリスクがあります。他にも、多くの時間と知恵を出し合ってロケットを製作したとしても、射場までの輸送中に事故に遭遇したり、発射後すぐの機能停止だって考えられるでしょう。宇宙空間に進出する前にも後にも、リスクは存在するのです。

Credit : AFP

 

「宇宙保険」を活用しよう

まだまだ未知の多い「宇宙事業」。たくさんの可能性が眠っている一方で、その可能性を実現するためにも、あらゆるリスクを想定した事業戦略を練っていく必要があるでしょう。その際に検討されるのが「宇宙保険」です。私たちが普段地上で生活する中でも、「保険」は欠かせないものですよね。損害保険や旅行保険など、ほとんどが私たちが長く安心して生きるために、大切なサービスとなっています。これは「宇宙事業」でも同様。私たちの生活と同じように、ロケットや衛星も長期間安全に活用していきたいですよね。これを担保するサービスが、「宇宙保険」なのです。

 

「宇宙保険」の種類

では、「宇宙保険」にはどのような種類があるのでしょうか。事業の種類や規模によって、加入すべき「宇宙保険」は変わってくるでしょう。したがって、こちらで紹介する「宇宙保険」の種類をしっかりとおさえ、自社の事業がどの「宇宙保険」に加入すべきなのか、慎重に検討していきましょう。

Credit : Yuzhny Space Center/Roscosmos

 

衛星保険

「衛星保険」とは、人工衛星の製造者以外の責任により発生した事故に対し、かけられる保険のことを指します。「衛星保険」は、フェーズごとにさらに3つの種類に分解することができ、それぞれ「打ち上げ前保険」「打ち上げ保険」「寿命保険」といいます。

 

たとえば、人工衛星を射場へ輸送している最中に事故が発生する、といった発射の準備段階でのリスクが考えられるでしょう。また、打ち上げから衛星分離までの期間に損傷するといったアクシデントも想像できるかもしれません。このようなケースを想定した保険が、「打ち上げ前保険」「打ち上げ保険」です。「打ち上げ前保険」の場合、ロケットや衛星の製造~射場までの運搬までが保険期間となります。したがって、打ち上げ時にはこちらの保険は終了となります。そして、「打ち上げ保険」は実際に打ち上げが開始され、衛星が分離、さらに一定の期間までを保険期間に設定しています。

 

また、現在地球低軌道上では7,500個もの人工衛星が回っているといいます。そして、そのような人工衛星の中には途中で故障や破損をし、そのままスペースデブリとして低軌道上をさまよう例も多く存在。すると、新たな人工衛星が宇宙空間に発射された時、スペースデブリに衝突し破損してしまうリスクが考えられますよね。つまり、本来人工衛星が持つはずの寿命より前に、人工衛星が機能停止してしまうアクシデントに対する保険が「寿命保険」なのです。この「寿命保険」は、打ち上げから低軌道上での運用までを保険期間とし、多くが1年間の保険期間を設定しています。

 

責任保険

「責任保険」とは、衛星やロケットとは別に、人や物など第三者に損害を与えてしまった場合にかける保険のことを指します。たとえばロケットの打ち上げは、もちろん周りに住環境のない、広大なフィールドで行われます。しかし、墜落した場合には万が一のことも考えられるでしょう。その際の賠償金支払いに対する保険が「責任保険」です。

 

この「責任保険」も2つの種類に分解することができ、それぞれ「打上げ第三者賠償責任保険」「軌道上第三者賠償責任保険」といいます。「打上げ第三者賠償責任保険」はロケットの打ち上げが原因で第三者に危害が加わった場合の保険を指します。そして、「軌道上第三者賠償責任保険」は軌道上で衛星同士が衝突するなどし、第三者に危害が加わった場合の保険を意味します。

 

壮大な夢を助ける「宇宙保険」

宇宙事業に取り組む際、そこには長い歳月と莫大な費用が必要とされるでしょう。したがって、その分リスクはなるべく最小限に抑えたいですよね。そのようなリスクを想定し、これから宇宙ビジネスに進出するならば「宇宙保険」は検討すべきでしょう。壮大な夢を実現するための備えとして、本記事を参考にぜひ「宇宙保険」に注目してみてはいかがでしょうか。

 

 

綱嶋 直也