【特集】北海道スペースポート“HOSPO”

スペースポート(宇宙港)とは、ロケットやスペースプレーンが離着陸する射場のことです。このスペースポートを北海道大樹町に建設し、「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」という計画が2021年4月より本格稼働しました。




1.北海道スペースポートとは


北海道スペースポート(以下、HOSPO)は、北海道大樹町が公共事業として進めています。つまり、HOSPOは公共施設であり、この射場の企画、管理、運営を行う民間企業としてSPACE COTAN株式会社が設立されました。宇宙は「次のゴールドラッシュ」と言われており、世界規模での宇宙産業市場規模は2019年の39兆円から、2040年には110兆円に市場が拡大されると予想されています。しかし、人工衛星需要の急増により、世界的に射場もロケットも数が不足しているという課題がありました。

 

出典:Morgan Stanley

(https://www.morganstanley.com/ideas/investing-in-space)

 



HOSPOの位置する北海道大樹町は、東・南に太平洋がひらかれているために射角が広く、地球のあらゆる場所を観測する衛星に適している極軌道(北極と南極を通る軌道)や、傾斜軌道にも打ち上げることが可能です。また、十勝平野は日本でも屈指の高い晴天率を誇っており、ロケット打ち上げ可能な気象条件になりやすい環境です。

さらに、東京からHOSPO北海道までは飛行機と車で約2時間半ほどであり、アクセスのよい立地でもあります。これらの射場候補地としての優位性から、大樹町では昭和60年から宇宙基地構想の夢が語られてきました。HOSPOを整備した場合の道内の経済波及効果は年間約267億円と言われており、現在は官民連携で事業を進めています。



2.「企業版ふるさと納税」で宇宙へ貢献

HOSPOの総工費は、総額50億円です。

そのうちの25億円は地方創生交付金での調達を検討していますが、残りの25億円は寄付で資金を集める必要があります。寄付の方法は直接寄付、個人版ふるさと納税を活用した寄付、企業版ふるさと納税を活用した寄付があります。企業版ふるさと納税は、企業が自治体に寄付をすると税負担が軽減される制度です。企業の負担額は約1割であるため、1000万円の寄付をすると約900万円が控除されます。企業版ふるさと納税は、自治体への寄付なためSDGs達成や地方振興に繋がり、社会貢献した企業としてのPR効果が狙える点、地域発展との結びつきにより、企業イメージ向上にも寄与する点などのメリットがあります。

また、HOSPOを応援する企業や個人が参加することができる“HOSPO SUPPORTERS”という相互連携を図るコミュニティがあります。このコミュニティに参加することで、すでに参加企業とのネットワーク構築も可能であり、さらに会員企業はロケット打ち上げの現地参加が可能になります。



Launch Complex-1 イメージ図


3.北海道宇宙サミット2021開催





“北海道宇宙サミット2021”が11月4日・5日の2日間に渡って開催されます(新型コロナウイルス感染拡大のため8月予定の日程を延期)。インターステラテクノロジズファウンダーの堀江貴文氏をはじめとした、ツアーガイドのアテンドと共に巡る特別オンラインツアーの開催も予定されています。JAXAや大学、民間企業の航空宇宙実験が行われている滑走路、インターステラテクノロジズのロケット打上げも行われているロケット射場、ロケット工場などのスポットが公開される予定です。



4.SPACE COTAN株式会社 大出大輔氏にインタビュー

そして今回は、HOSPOの運営を担うSPACE COTAN株式会社のCOOである大出大輔氏にお話を伺いました。
(以下、大出氏)
宇宙産業は今、最も熱いビジネスであり、日本もスペースポートの開発を行わなければ今後、世界から遅れをとる可能性が高いです。

一般の方にとって宇宙は遠い存在に感じられるため、大抵は自分事ではなくなってしまいますが、スマホで目的地への経路検索をすればGPS情報が使われるなど、実は皆様の生活に溶け込んでいます。また、夢と思われてきた宇宙産業ですが、実は無料で関わり応援できることもたくさんあります。

例えば、SNSで宇宙情報を発信しているアカウントをフォローして情報を得ることです。情報を得ることで「宇宙産業は夢である」という誤解もなくなり、宇宙に取り組む意義が見えてきます。意義に共感出来たら、無料の応援をしてください。SNSの情報を、いいね、拡散して、より多くの人の宇宙への意識を変えてほしいです。

さらに、大樹町への個人版ふるさと納税で、納税の使い道を宇宙にして、美味しい返礼品を貰いつつ、北海道スペースポートの応援をしてください。ぜひ、十勝、北海道、日本の為に、明確な目的を持った納税の選択として、ご検討ください。


以上、北海道スペースポート(HOSPO)について解説しました。2025年までに2つの発射場を大樹町が新設される予定です。大樹町、北海道、そして日本の宇宙産業の将来が楽しみですね。

Photo Credit:HOKKAIDO SPACEPORT


SPACEMedia編集部