【衛星vsドローン】リモートセンシングを5つの軸で比較。衛星リモートセンシングとドローンリモートセンシングの違いとは?

リモートセンシングと聞くと多くの方が衛星リモートセンシングを想像されると思います。ですが、近年はドローンによるリモートセンシングも実は注目されています。

ドローンは衛星リモートセンシングでは従来取得が難しかったデータを提供します。以上から、衛星とドローンそれぞれが異なる強みを持つため、使い分けることや組み合わせることが重要になります。

本記事では衛星リモートセンシングとドローンリモートセンシングのそれぞれの優位性を初心者でもわかるように簡単に比較します。

本記事で設定した5つの比較項目と結論は以下の通りです。

  • 撮影範囲:衛星が優位
  • 解像度:ドローンが優位
  • 搭載可能なセンサー:同程度
  • 撮影労力:衛星が優位
  • 使用条件:ドローンが優位

リモートセンシングに知見がない方でも理解できるように可能な限り専門用語は排除しました。ぜひご一読ください。

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衛星リモートセンシングとは

まずは衛星リモートセンシングについて確認します。

衛星リモートセンシングとは、人工衛星にセンサーを搭載し、地上を測定する行為を指します。植物の観測、温度測定、高度測定など多岐にわたる用途で活用されています。

Landsat 8 | U.S. Geological Survey
Credit: usgs.gov

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ドローンリモートセンシングとは

ドローンにセンサーを搭載し、地上を測定する行為を指します。衛星と同様に、植物の観測、温度測定、硬度測定など多岐にわたる用途で活用されています。

DJI、DJI Air 2S発表!1インチセンサー搭載で5.4K動画撮影が可能へ | DRONE
Credit: dji.com

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撮影範囲~衛星は広範囲の撮影、ドローンは狭い範囲の撮影~

まずは撮影範囲について比較します。人工衛星は宇宙からの撮影になるため、広域を撮影できます。ドローンに関しては、地上から数m程度の高さからの撮影になるため(高くとも100m~150m程度)、衛星と比較して狭い範囲の撮影になってしまいます。

実はドローンには、自動空撮ミッションを作成し、撮影された画像を合成ソフトで合成することで、広域データ化する方法も存在します。とはいえ手間もかかりますし、いくら頑張っても衛星レベルの範囲を実現することは難しいです。

よって広域データの取得であれば人工衛星、狭域なデータの取得であればドローンという使い分けが適していると言えます。

撮影範囲対決の勝者は人工衛星です。

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解像度~衛星よりもドローンは高精度~

次に取得されるデータの解像度に関してご説明します。

前述したように、衛星リモートセンシングに関しては数百平方メートル単位での広域データが取得できます。一方で広域データを簡単に取得できる背景には、高い高度から取得していることを意味します。よって衛星はドローンよりも画像の解像度は落ちる傾向にあります。近年は技術的に解像度も改善傾向にありますが、2017年に施行された衛星リモセン法によって解像度を成約する動きもあります(回避する方法もありますがここでは触れません)。

ドローンは衛星と比較して、地上に近い位置から撮影できるため、高解像度なデータを取得することが可能です。近年では、市販のドローンであっても4Kカメラを搭載していることが一般的です。

以上から解像度対決の勝者はドローンです。

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搭載可能なセンサー~それぞれ多種多様なセンサーの搭載が可能~

衛星リモートセンシングもドローンリモートセンシングも光学・マイクロ波・熱赤外などのセンサーを搭載することができます。近年ではドローンにLiDARを搭載した機体も登場しています。ドローンにセンサーを物理的に取り付けることも可能であるため、センサーの種類で言えばドローンに軍配が上がります。とはいえセンサーは高価な物が多いため、特殊なセンサーを使用したい場合は、金銭的な観点からは衛星を選択することになるかもしれません。

搭載可能なセンター数対決では、ドローという結論に至りました。

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撮影労力~ドローンは現場に赴く必要性あり~

人工衛星はドローンと異なり、PCからアクセスすることで簡単に画像を取得できます。オープンアクセスの衛星も存在します。ドローンは飛行させるまでの過程で、ドローンは機体代金が初期投資で必要であること、それから許可関連の手続きも必要になります。また現地に赴いて撮影する必要性もあるため、敷居は高いです。近年では撮影代行業者も登場しているため、依頼することも選択肢になるでしょう。

撮影労力に関しては衛星の勝利という結論に至りました。

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使用条件~ドローンのほうがより柔軟に対応可能~

衛星は地球上を回っているため、撮影できないタイミングも生じてしまいます。ドローンであれば、現地に赴く必要性はありますが、撮影したいタイミングで撮影することができます。

また衛星リモートセンシングでは雲などの大気状況で撮影が不可能になることがあります。ドローンであれば基本的には雲よりも下から撮影するため影響を受けません。むしろマルチスペクトルカメラを利用する際などは、日照条件が一定になるたり好まれることもあります。雨天時に関しては両者共に撮影が難しいですが、耐水ドローンも近年は登場しています。

使用条件に関しては、ドローンのほうがやや優位と言えます。

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まとめ

衛星リモートセンシングとドローンリモートセンシングについて、以下の6つの軸で比較しました。以下が結論となります。

  • 撮影範囲
    • 衛星リモートセンシングが優位
  • 解像度
    • ドローンリモートセンシングが優位
  • 搭載可能なセンサー
    • ドローンリモートセンシングがやや優位
  • 撮影労力
    • 衛星リモートセンシングが優位
  • 使用条件
    • ドローンリモートセンシングがやや優位

より細かく見ると上の結論は変動すると思いますが、大まかな傾向としてご参考になれば幸いです。