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宇宙スタートアップLetara、開発拠点構築に廃校校舎を利用 滝川市と契約締結

Credit: Letara株式会社 プレスリリース

2023年12月8日、人工衛星用推進系(エンジン)の開発に取り組む北海道発の宇宙スタートアップ、Letara株式会社(北海道札幌市、共同代表取締役 Landon KAMPS、共同代表取締役 平井翔大)は、2023年12月1日に北海道滝川市と契約を締結し、同滝川市の廃校校舎等を新たな研究開発の拠点として利用することで合意したと発表した。

Letaraは2020年設立の宇宙スタートアップで、プラスチックを燃料にした高推力・安全・安価な人工衛星用推進系を開発しており、北海道大学認定スタートアップとして、「J-Startup HOKKAIDO」にも選定されている。

同社はかねてから、今後の商品開発に向けて推進系の燃焼実験場や試作機の開発拠点となる場所を探しており、2022年3月に閉校した旧江部乙中学校(滝川市江部乙町1118番地1)の校舎・土地を活用できる事業者を募集していた滝川市と今回の契約を締結する運びとなった。

Letaraが利用することになった旧江部乙中学校
Credit: Letara株式会社 プレスリリース

Letaraは、企業理念の一つに「To Space with Hokkaido」を掲げており、北海道が抱える課題の解決に貢献することを心がけていることから、廃校の有効活用を通して少しでも北海道の力になりたいと考えたことも、今回の廃校利用の背景にあるようだ。

また、既存の建築物を再利用して会社を発展させるという低コストかつ環境にも配慮した方法も、これからの企業のあり方として適していると判断された。

今回の契約締結を受け、同社では環境整備等のため今後1年間は無償で旧江部乙中学校借り受け、その後、土地建物を購入する予定。

滝川市は札幌から車で約2時間の距離に位置し、人口3万7,511人(2023年9月末日時点)の自然豊かな小さなまち。滝川市を含め、北海道には工場を建設でき、燃焼実験場としても活用可能な広大な土地があることは宇宙関連、特にロケット開発など大規模な施設や実証などが必要な企業にとっては魅力と言える。

滝川市の位置
Credit: Letara株式会社 プレスリリース

Letaraでは爆発する危険性が低い安全な燃料を用いるものの、地域住民や環境、従業員の安全を第一にさまざまな計画を進めていくとしている。
11月下旬には地域住民を対象とした住民説明会を実施し、代表取締役Co-CEOの平井氏が事業内容や宇宙産業の可能性、また滝川市とともに歩む今後のビジョンについて説明。住民からは、雇用創出などについてや、拠点完成を待ち望む声も上がったという。

少子化による影響で、閉校する学校は日本全国で増加しており、その数は毎年450校ほどになるという。文部科学省でも「みんなの廃校プロジェクト」を立ち上げるなど、廃校の利活用は大きな課題となっている。

地域経済を活性化させる産業として注目を集める宇宙ビジネスだが、Letaraの取り組みも宇宙ビジネスによる地域活性の一例として期待を集めそうだ。

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