2024年6月25日、「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営する北海道大樹町(北海道広尾郡大樹町、町長 黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO 小田切義憲)は、2022年9月より進めていたHOSPO内の滑走路延伸工事が完了したと発表した。
滑走路は従来の1,000mから東に50m、西に250mの合計300m延伸して全長1,300mとなった。これにより、従来より規模の大きい実験や機体の受け入れが可能となったという。
HOSPOの1,000m滑走路は、宇宙開発事業団(NASDA・現JAXA)と航空宇宙技術研究所(NAL・現JAXA)が当時研究開発を行っていた日本版スペースシャトル「HOPE」の実験誘致を目指し、大樹町が1995年に建設したもの。1998年に舗装化し、航空宇宙関連の実験やイベント、スカイスポーツなどで幅広く利用されている。
2023年度はのべ43の企業・団体による195日の利用があり、無人航空機やヘリコプターを使った実験・訓練のほか、ロケットエンジンの燃焼実験や小型ロケットの打上げが行われた。
滑走路延伸の事業費は4億2800万円で、建設の財源は、政府のデジタル田園都市国家構想交付金と企業版ふるさと納税による寄附金が充てられているという。寄附総額は当初の目標に迫る11億円となっているが(関連記事)、昨今の資材価格高騰で総事業費が膨らんだことから、HOSPOでは現在も継続して寄附を募っている。
また、HOSPOでは現在、滑走路延伸工事と並行して、新たな人工衛星用ロケット射場「Launch Complex-1(LC-1)」 の建設も進められており、完成後はインターステラテクノロジズなどの事業者による打上げが予定されているほか、高頻度で多様な打上げに対応するため、新たな射場「Launch Complex-2(LC-2)」やP2P輸送(高速2地点間輸送)用の3,000m滑走路の整備も計画されている。
HOSPOでは、「無人航空機やスペースプレーン(宇宙往還機)、空飛ぶクルマなどの次世代エアモビリティの研究・開発が活発化する中、HOSPOにおいても関連する実験の利用希望が寄せられており、こうしたニーズの多様化に応えることで、航空宇宙産業の発展に貢献してまいります」とプレスリリースにて今後の展望を示している。