目次
ロケット開発のAstroXとJAXA、気球に関する共創活動を開始
2024年12月3日、AstroX株式会社(福島県南相馬市、代表取締役 小田翔武、参考記事)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、気球に搭載した大型構造物の姿勢を高精度にコントロールする装置「気球用プラットフォーム懸垂型姿勢制御装置」の研究開発に関する共創活動を実施すると発表した。
これは新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーション パートナーシップ(J-SPARC)」の枠組みのもとで行われるもの。
AstroXは気球で成層圏などの高空からロケットを発射するロックーン(Rockoon)方式による事業の実現を目指し、気球用懸垂型の姿勢制御装置の開発に着手。試作機の構築・試験も実施しているが、飛翔中の気球ダイナミクスや成層圏環境に関する専門的知見や制御装置の実フライトによる実証試験という課題があり、気球を用いた天文観測等の研究を多数実施しているJAXAおよび宇宙科学研究所(ISAS)と共創を進めることになった。
AstroXは、気球用プラットフォームとしての懸垂型姿勢制御装置の開発を進めることで高空での気球を用いた事業の早期実現とともに、HAPS(高高度プラットフォーム)や地上用クレーン等の非宇宙分野製品への適用といった事業の拡大も狙うとしている。
ポーランドの国際宇宙ステーション滞在ミッション、正式名称が決定
2024年12月2日、欧州宇宙機関(ESA)とポーランド経済発展技術省、ポーランド宇宙庁は、国際宇宙ステーション(ISS)でのポーランドの技術科学ミッションの正式名称が「イグニス(Ignis)」になると発表した。
このミッションは、アクシオムミッション4(Ax-4)の一部であり、同ミッションに参加するのはスラヴォシュ・ウズナンスキー(Sławosz Uznański)氏で、宇宙に滞在する2人目のポーランド人となる。
ミッションの滞在期間は14日の予定。ミッション中、クルーらは微小重力環境での研究活動や、教育普及活動に携わる。
なお、イグニスというミッション名はラテン語で「火」を意味する言葉に由来し、ポーランドの宇宙開発における新時代の火花を象徴しているという。
NASA共同プロジェクトの無人航空機が高高度での滞空記録を達成 スウィフト・エックスアイ
2024年12月3日、航空宇宙工学サービス事業を展開するスウィフト・エンジニアリング(SWIFT Engineering Inc.、アメリカ・カリフォルニア州、Chairman & CEO Hiro Matsushita)と神戸情報大学院大学(兵庫県神戸市、学長 炭谷俊樹)が共同出資したベンチャーであるスウィフト・エックスアイ株式会社(兵庫県神戸市、代表取締役会長&CEO 松下弘幸)は、同社の親会社であるSwift Engineeringがアメリカ航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターの協力により、高高度滞空型無人航空機(Swift Ultra Long Endurance:SULE)が、平均海面高度55,904フィート(約17km)で24時間超(2024年9月29~30日)の滞空記録を達成したと発表した。
同社によると、前回の滞空高度記録25,000フィートを2倍以上更新した。
SULEは高高度(約21km)・成層圏において、長期間、自律飛行するように設計された無人航空機で、商業、モニタリング、通信、防衛など多用途での使用が想定されている。太陽光パネル搭載飛行翼は全長22m、機体重量は82kg、ペイロードは6.8kgという。
Swift EngineeringはNASAから2年間の継続研究予算を取得しており、今後、SULEは成層圏での滞空時間を48時間、7日間と段階的に引き上げる飛行実験を2025年に実施する予定。
JAXA運用中の地球観測衛星、ウェブ上でのリアルタイム閲覧が可能に
2024年12月2日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて人工衛星の開発・利用を推進している第一宇宙技術部門は、同部門の公式Xで、現在JAXAが運用している地球観測衛星8基の場所・軌道をウェブ上でリアルタイムに見ることができるようになったと発表した。
https://www.satnavi.jaxa.jp/project/eo/orbit/
現在JAXAが運用している地球観測衛星とその役割は下記の通り。
- しずく(GCOM-W):水循環変動観測衛星。水に関するさまざまな物理量を観測。データは気象予報や漁業、 極域での船舶航行などに利用
- GPM主衛星:日米を中心とした国際協力の下で進められている全球降水観測計画(GPM計画)の主衛星
- いぶき(GOSAT):温室効果ガス観測技術衛星。二酸化炭素やメタンなどの濃度分布を観測
- いぶき2号(GOSAT-2):温室効果ガス観測技術衛星。「人為起源」の二酸化炭素の排出量の推定を行う
- だいち2号(ALOS-2):陸域観測技術衛星。地震・火山活動などの詳細な把握に貢献
- だいち4号(ALOS-4):先進レーダ衛星。災害時の状況把握や、火山活動、地盤沈下、地すべり等の異変の早期発見など
- しきさい(GCOM-C):気候変動観測衛星。光学センサで、大気中の微粒子や植物の活性度などを調査
- はくりゅう(EarthCARE):雲、エアロゾルの全地球的な観測を行い、気候変動予測の精度向上に貢献