株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社である三菱UFJ銀行は2022年12月16日、小型ロケットの開発、ならびに人工衛星打上げを担うスペースワン株式会社(以下スペースワン)に出資し、事業共創を目指していくことで合意したと発表しました。出資額は公開されていませんが、約5億円を投じ出資比率は5%未満になるとみられています。
日本の新たなロケット時代の幕開け
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社によると、宇宙産業の市場規模は2021年時点で44兆円、2030年には76兆円に達する見通しであり、世界で最も成長する市場の一つです。今後、IoT/AIテクノロジーの広がりに伴い、人工衛星を通じた通信や測位、地球観測データの利活用はさらに幅広い分野で拡大していくことが想定され、さまざまな社会課題の解決に貢献することが期待されています。その根底を支える人工衛星打上げ事業については、日本国内に低コストかつ高頻度で打上げ可能なロケットや射場が存在しないという、産業構造上の課題を抱えています。
スペースワンは、2018年にキヤノン電子や清水建設などの共同出資によって発足された、人工衛星を搭載する小型ロケットの開発から打上げまでを一貫して担う企業です。和歌山県に自社運営のロケット打上げ射場(スペースポート紀伊)を有しており、現在進めている初号機の打上げを皮切りに、年間20機の打上げを計画しています。三菱UFJ銀行は、幅広いネットワークや総合金融サービスの知見・ノウハウの提供などにより、スペースワンの事業価値の向上と国内宇宙産業の課題解決に貢献することとなります。また、宇宙産業の根底を支える本事業に参画することで、衛星開発企業をはじめとする宇宙関連事業者など、さまざまな民間事業者との連携を進め、新たな産業クラスターの創出を目指しています。
新たなビジネスの創造に向け、宇宙の取り組みを加速
三菱UFJ銀行は、「お客さまと事業リスクを共にし、社会課題の解決に向けた新産業を創出」する事業共創に取り組んでいます。今回の出資は宇宙領域における事業共創投資の第一弾であり、今後、宇宙産業における機器製造やインフラ構築、サステナブルな宇宙環境の維持、衛星データ利活用による社会課題解決などに向けて、産官学連携を含めたオープンイノベーションを促進し、日本の産業発展に貢献していくとしています。