米航空宇宙局(NASA)とSpace Exploration Technologies(以下SpaceX)は、3カ国の宇宙飛行士4名を乗せた有人宇宙船「クルードラゴン」による有人宇宙飛行ミッション「Crew-6」について、打上げを2023年2月27日午前1時45分(米国東部時間)に実施すると発表しました。これは2022年10月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士ら4名をISSに運んだ「Crew-5」の打上げに続く、6回目の有人ミッションとなります。
関連記事
若田光一さん5回目の宇宙飛行へ。10月から始まるミッションをご紹介(22年10月)
有人宇宙飛行ミッション「Crew-6」について
「Crew-6」ミッションは、SpaceXの米国商業有人宇宙船 「クルードラゴン・エンデバー号」をファルコン9ロケットで打上げる有人運用飛行で、NASA と SpaceX のパートナーシップにおいて 6回目、同社にとっては9回目の有人打上げとなります。
エンデバー号は、同社のファルコン9ロケットにて、米国フロリダ州にある NASA のケネディ宇宙センターから打上げられます。
「ファルコン9」ロケットの概要
SpaceX社が開発した「ファルコン9」ロケットは、同社が開発したクルードラゴン宇宙船、ドラゴン補給船の打上げにも使用される民間の商業用打上げロケットで、1段に再利用可能ブースターを備えています。再利用することで、ロケットの最も高価な部品を再飛行させることができ、その結果、打上げコストを大幅に削減できます。
自社開発したロケットエンジン「マーリン」は、液体酸素とケロシンを燃料とする液体燃料エンジンで、パワーを表す推力は845kN。さらにこれが9基搭載されているため、打上げ時には7686kNと世界最強のパワーを生み出します。
「エンデバー号」に搭乗する宇宙飛行士ら
今回のミッションには、NASAのStephen Bowen(スティーブン・ボーエン)飛行士とWoody Hoburg(ウッディ・ホバーグ)飛行士、アラブ首長国連邦(UAE)のSultan Al Neyadi(スルタン・アル・ネヤディ)飛行士、ロシアのAndrey Fedyaev(アンドレイ・フェディアエフ)飛行士の計4名が参加します。飛行士らはISSにドッキング後、同年10 月から微小重力研究所での科学調査のためISSに滞在中のCrew-5のメンバーと引継ぎを実施。その後、約6か月間の滞在が予定されています。
Crew-5ミッションに参加した若田宇宙飛行士ら4名は、引継ぎ後すぐにSpaceXのドラゴン宇宙船「エンデュランス号」に乗って地球に帰還する予定です。
なお、宇宙船「エンデバー号」に搭乗するスルタン飛行士とアンドレイ飛行士は、今回の宇宙飛行が初。スティーブン飛行士は、2008年~2011年にかけて3回のスペースシャトルミッションを経験しており、今回で4回目の宇宙飛行となるベテラン飛行士です。