2022年10月6日未明(日本時間)に、日本の若田光一宇宙飛行士(59)を含む4名が搭乗したクルードラゴン宇宙船が打上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かう予定です。若田さんは、2013年11月のISS長期滞在ミッション以来となる、5回目の宇宙飛行に臨みます。
今回は、若田さんがISSで予定しているミッションの概要をご紹介します。
※米国南部に上陸したハリケーン「イアン」の影響で、当初10月4日(日本時間)に予定されていた打上げが延期されました。状況によっては、さらなる延期の可能性もあります。
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目次
若田さんは日本人最多5回目の宇宙飛行へ
若田光一さんは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に所属する宇宙飛行士です。
若田さんはこれまでの宇宙飛行でISSの建設ミッションに参加した他、日本初のISS長期滞在や、日本人初のISS船長就任など経験してきました。
若田さんの宇宙飛行は8年ぶり5回目となり、これにより自身が持つ日本人最多記録を更新します。また、出発時59歳の若田さんは日本人による宇宙飛行の最年長記録も塗り替えることになります。
9月29日に行われた記者会見では、「将来の月面探査・火星探査につながるような開発データを取得する実験に特に注目している。ISSの『きぼう』や『こうのとり』で培った日本の技術を活かして、月や火星の探査に貢献できるような実験に挑戦していきたい」と意気込みを語りました。
今回のミッションでは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の飛行士2人、ロシアの飛行士1人とともにISSへ向かいます。
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スペースX社製のロケット・宇宙船で打上げ
今回の打上げに使用されるのは、スペースX社の「ファルコン9ロケット」と、「クルードラゴン宇宙船」です。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
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ファルコン9はスペースシャトル以来の再利用可能ロケット
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ファルコン9はスペースX社が開発したロケットで、スペースシャトル以来となる機体の一部を再利用できるロケットです。第1段ブースターは海上で無人船の上に着陸させて回収し、フェアリング(ロケット先端部の搭載物を守るカバー)は海上に着水したものを網で回収します。 特に第1段ブースターは新造した際にロケット全体のうち60%のコストを占めるとされ、回収・点検にかかる費用を考慮しても、再利用することで大幅なコストカットを実現できます。
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クルードラゴン宇宙船は「スマホのような操作感」?
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クルードラゴンはスペースX社が開発した宇宙船で、ファルコン9に搭載されて打上がります。この宇宙船も機体の再利用が可能で、スペースシャトルや使い捨て型のソユーズ宇宙船よりも安価に使用できるとのことです。今回の使用される機体も、2021年に一度ISSへ行ったことのあるものです。
クルードラゴン宇宙船の操作性は、よく「スマホのよう」と形容されます。スペースシャトルではおよそ3,000個ものスイッチの位置と機能をすべて覚える必要があったことに対して、クルードラゴンはタッチパネルで直感的に操作することができます。
宇宙船がデジタル制御になったことで、操作が簡単になり宇宙飛行士の訓練の負担が減る効果が期待できるほか、ソフトウェア・アップデートにより機能の追加や改善が容易にできるというメリットもあります。
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ISSは世界で唯一の「国境のない場所」
ISSはアメリカ・日本・カナダ・ヨーロッパ・ロシアの5極(計15か国)が協力して運用する巨大な宇宙実験施設で、人類にとって初めての「国境のない場所」とも言われています。
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日本が管理する区画は「きぼう日本実験棟」と名付けられ、これまで様々な研究や実験が行われてきました。「きぼう」は大きな船外実験設備も備えているため、民間企業を含む多様な研究開発のニーズに応えることが可能です。
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6ヶ月間の長期滞在で予定されているミッション
今回、若田さんはISSに6ヶ月間の長期滞在をする中で、数々なミッションを行う予定です。
特に若田さんが意欲を示しているのが、宇宙空間での液体の振る舞いを調べる実験です。地球上で利用される潤滑剤などの液体が、重力の異なる環境で正常に使えるか調べるのが目的で、月面や火星で利用される探査車や着陸船の基本設計に活かされます。
他にも、宇宙で使う材料の火災安全性を検証する燃焼実験や、低重力環境を活かした良質なタンパク質の生成に関する実験など、今後の宇宙開発や医療に役立つ研究が行われます。
また、「Asian Try Zero-G」という企画では、ISSに滞在する若田さんが、アジア各国の青少年を対象に一般公募された実験内容を実行します。小学生から大学生、若手研究者まで様々な層から実験案が寄せられ、厳選した内容を実際に宇宙で実験するようです。
過去のISS滞在でもTry Zero-Gは開催されており、実験の様子を下記JAXA公式サイトから見ることができます。
▼過去のAsian Try Zero-Gの様子(外部リンク)▼
アジアントライゼロG | JAXA 有人宇宙技術部門
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おわりに
今回は、若田さんが臨むISS滞在についてご紹介しました。今後の宇宙開発にとっても重要なミッションとなります。若田さんが宇宙から発信する情報にも注目です。