2021年8月、JAXAは10月7日にイプシロンロケット5号機を打上げると発表しました。2019年1月の4号機以来、約2年9カ月ぶりの打上げとなります。搭載されるのは「革新的衛星技術実証2号機」をはじめとする、9基の人工衛星です。今回打上げ場所となるのは鹿児島県の「内之浦宇宙空間観測所」であり、種子島宇宙センターではありません。聞き馴染みのないこの施設は、一体どのような施設なのでしょうか。本コラムでは全2回に分けて、内之浦宇宙空間観測所と、内之浦の歴史について解説します。
◆内之浦宇宙空間観測所とは
内之浦宇宙空間観測所は鹿児島県の東側、大隅半島の南東に位置しており、鹿児島空港から車で2時間弱かかります。近くに駅はなく、路線バスも充実していないため、遠方から訪れる方はレンタカーを借りるとよいでしょう。ロケット打上げ日以外は、見学予約をせずに、観測所内を無料で見学することができます。観測所内には数え切れない見どころがありますが、今回は、特におすすめしたい場所を3つご紹介します。
Credit:JAXA
◆M(ミュー)センター
Mセンターには、ロケットを打上げる発射装置やロケットを整備する組立室など、打上げに必要な建物が勢ぞろいしており、人工衛星を打上げる中型ロケットの打上げに使用されています。特に全長50mほどの発射装置は圧巻で、年に1度の一般公開日には稼働実演も行われます。
イプシロンロケットはここから打ち上げられる
◆KSセンター
ここには、小型ロケットの組立室や発射装置があり、主に観測ロケットの打上げに使用されています。ここからは、1970年に日本初の人工衛星「おおすみ」が打上げられ、2018年には世界最小の人工衛星打上げロケット「SS-520-5」も打上げられました。発射装置の近くに立ち、日本の宇宙開発の歴史をその身体で感じてみてはいかがでしょうか。
KSセンター
◆衛星ヶ丘(ほしがおか)展望台
20mパラボラアンテナがあり、敷地内で一番標高が高いこの場所からは観測所が一望でき、天気が良い日には、約50km先に種子島や屋久島を望むこともできます。運が良ければ、パラボラアンテナがゆっくりと動く様子も見られるかもしれません。観測所の広大さを、ぜひその目で確かめてみてください。
衛星ヶ丘展望台からの景色
この記事では、あまり知られていない内之浦宇宙空間観測所の魅力をお伝えしました。ロケット打上げのニュースを見た際には、種子島だけでなく内之浦のことも思い出してみてください。
SPACEMedia編集部