【保存版】東京都内で宇宙工学が学べる私立大学~前編~

日本でも盛り上がりを見せる宇宙産業。宇宙開発について大学で学びたいという方も増えているでしょう。また、子どもには大学に行くのなら将来性のある宇宙産業についてじっくり学んで欲しいと考えている保護者の方もいると思います。

本連載では航空宇宙工学を学べるのは具体的にどの大学のどの学科なのかを紹介しており(【学生必見】宇宙開発に携わるための学部・学科選びについて徹底解説)、第1段では東京都内の国公立大学について紹介しました。(【保存版】東京都内で宇宙工学が学べる国公立大学4選)

第二段として、本記事では東京都内にある私立大学に絞って紹介します。

早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科

Credit: 早稲田大学

早稲田大学 基幹理工学部では、1年次に工学の基礎となる数学と物理を丁寧に学び、2年次に上がる時に学科振り分けが行われます。ここで機械科学・航空宇宙学科を選択することができます。2年次からは材料力学、流体力学、熱力学、機械力学を基礎科目として履修し、その後これらの工学分野を総合する工学として航空宇宙工学を深く学んでいきます。

機械科学・航空宇宙工学科の歴史は1944年設立の専門部航空機科にまで遡ります。その長い歴史の中で、多くの卒業生が多彩な分野で活躍しており、そのネットワークも一つの魅力といえるでしょう。JAXAやANAとの研究協力協定をはじめとして様々な研究機関・企業と連携した活動もあり、充実した教育・研究体制が整っています。

研究領域も多様かつ高度であり、材料、流体、燃焼、制御など、航空宇宙工学のあらゆる分野で最先端の研究を行っています。

早稲田大学 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科HP<https://www.amech.waseda.ac.jp/

ちなみに、早稲田大学の創造理工学部 総合機械工学科でも宇宙開発に関して学ぶことができます。宇宙構造物に関する授業がある他、超小型衛星「WASEDA-SAT-ZERO」を開発するプロジェクトがありました。金属3Dプリンタの積層技術を活用し、ねじなどを一切使わない一体成型技術の実証を行うというものです。残念ながらイプシロンロケット6号機の打上げ失敗により軌道投入はできませんでしたが、このようなプロジェクトを通じて学部生が人工衛星開発に携わる機会があります。(今後のプロジェクトについては未定)

超小型人工衛星「WASEDA-SAT-ZERO」
Credit: 早稲田大学
http://www.miyashita.mmech.waseda.ac.jp/Waseda-Sat-Zero/index.html

日本大学 理工学部 航空宇宙工学科

Credit: 日本大学

日本大学 理工学部 航空宇宙工学科では、1年次から数学や物理の基礎を丁寧に学びつつ基礎4力学として据えている工業力学、材料力学、流体力学、熱力学を深く学び、航空宇宙工学の専門知識を身に着けていきます。日大航空は50年近い歴史を持ち、その卒業生は5,000名を超え、様々な分野で多くの卒業生が活躍しています。特に人力飛行機の開発に長い歴史を持っており、現在でも鳥人間コンテストの取り組みとしてその伝統は続いています。2019年には学生記録を更新するなど、日大航空が日本の人力飛行機をけん引しているといっても過言ではありません。

Linnet I
日本初の人力飛行機Linnet I
Credit: 日本大学

人力飛行機のほかにも、人工衛星、飛行ロボット、ロケット、ジェットエンジンなどのプロジェクトがあり、それぞれ数々の賞を受賞するなど、非常に活発に活動が行われています。

SEEDS,SEEDS‐II,SPROUT,NEXUS
Credit: 日本大学

実験設備も非常に充実しており、流体、材料、燃焼系の設備をはじめとして、宇宙往還機のフライトシミュレータや微小重力実験の設備 (落下塔) など様々な設備を備えています。日大航空の規模と歴史は日本トップクラスといえるでしょう。

ちなみに日大航空のホームページは航空宇宙の魅力が特によく分かるものとなっており、航空宇宙工学の各分野がどんなものであるか、また日大ではどのような研究が行われているのかを綺麗な画像と共に知ることができます。

日本大学理工学部 大学院理工学研究科-航空宇宙工学科 専攻HP
https://aero.cst.nihon-u.ac.jp/

東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻

Credit: 東海大学

東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻では、飛行機に関する技術を幅広く学ぶ航空工学分野、宇宙開発につながる力を身につける宇宙工学分野、自然現象を科学的に理解する力を養う宇宙環境科学分野の3領域に分けて、それぞれ座学だけでなく多くの実習を通じて専門的に学ぶことができます。

東海大学の大きな特徴は「航空宇宙特別プロジェクト」と呼ばれる取り組みがあることです。これは、学生が主体となってロケット/飛行機/人工衛星を開発するプロジェクトであり、学科や教員による支援を受けながら、実物に触れて実際の航空宇宙工学を身につけることができます。

東海大学学生ロケットプロジェクト (TSRP) ではハイブリッドロケットを開発しており、これまでアラスカや北海道などで実際に打ち上げた実績があります。全長は最大で3 m、到達高度は最高2.4 kmという記録があります。

東海大学衛星プロジェクト (TSP) では、電子工作の基礎を学ぶことから始まり、CanSatと呼ばれる模擬人工衛星の開発に取り組み、さらには新しいミッションや技術実証を行う実際の人工衛星の開発まで行っています。

学生航空機プロジェクト (SAP) では小型の航空機を自作し、実際に飛行機に触れながら航空工学に学ぶことができます。マルチコプターのドローンだけでなく、飛行機型のロボットや紙飛行機などを1から設計し、飛行ロボットコンテストに参加したりもしています。

航空宇宙特別プロジェクトで開発しているハイブリッドロケット
Credit: 東海大学学生ロケットプロジェクト (TSRP)
https://www.u-tokai.ac.jp/ud-engineering/dpt-aeronautics-and-astronautics-aerospace-course/

おわりに

今回は東京都内で航空宇宙工学が学べる私立大学(前編)を紹介しました。学ぶ対象としての航空宇宙工学はどこでも共通していますが、カリキュラムや課外活動などには違いがあります。また、キャンパスや学生の雰囲気にも違いがあり、そうしたことは実際に足を運んでみなければわかりません。オープンキャンパスや学祭の日程をチェックし、是非それぞれの大学を訪れ、学生や教員に直接話を聞きにいってみてください!次回は、今回紹介しきれなかった大学(後編)について紹介します!