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国際宇宙ステーション「きぼう」利用シンポジウムDay3 -2030年までの「成果の10年」ポストISSに向けて–(Q&Aセッション)

『国際宇宙ステーション「きぼう」利用シンポジウムDAY3』が2月2日にYouTubeでのLIVE配信で開催されました。4日間を通して、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の利用について、サイエンス利用やビジネス利用、技術実証利用など、熱く議論が繰り広げられます。

 

DAY3は、米国のNASA・日本のJAXAからISSに関わる専門家の方々を招き、2030年に退役が決まったISS、そしてその後継となる低軌道の商用プラットフォームについて、モデラ―の方々による日米両国の視点から、話題提供と、視聴者の方々から寄せられた質問の回答が行われました。

今回はDAY3の「Q&Aセッション」の一部をご紹介します。

 

Q&Aセッション

DAY3後半のQ&Aセッションでは、ISSが運用される2030年までの間、そしてポストISSである地球低軌道の商用プラットフォームをテーマに、視聴者の方々からの質問への回答が行われました。NASA・JAXAが持つISS、そしてその次の商用プラットフォームのビジョンを知ることができ、今後更に広がる宇宙環境利用の未来を感じることができました。

ISSから商業プラットフォームに移行するためにはどうしたらいいか

Ryan Prouty氏:ISSから商業プラットフォームへとシームレスに移行するために、どういった教訓を商業プラットフォームに引き継ぐかを決めることが重要です。ISSと商用プラットフォームの設備、環境などの違いを考え、ユーザからの需要を十分に満たすことが大切です。そのため2030年までの10年はISSの運用、商業プラットフォームの計画を両立し、継続的に行われるようにしたいと思います。

小川 志保氏:きぼう利用センター長としては、ポストISSも宇宙環境利用を持続することが大切だと思っています。そのためには、持続した利用需要の創出、民間による主体的な利用、地球低軌道の有用性を示していく、この3つが大切なので、そのための活動を続けていきたいと考えています。

 

宇宙環境利用を民間にも広げるにあたり、注目されている特定の分野はあるのか

Ramon (Ray) Lugo氏:ISS国立研究所は、民間における様々な決定を行うわけですが、その中でも多くの民間企業が宇宙環境利用事業においてチャンスを求めていることが分かります。特に投資のリターンが大きくなると考え注目されているのは、医療、製薬です。こうした宇宙の民間利用を活性化させるためには、世界中の企業が参画する必要があり、そのためにも日本とアメリカの連携は大切で、各国政府への働きかけも期待されます。こうした残り10年の活動を通して、将来の世代にとっても活力になる活動を続けられたらと思います。


ISSと商用宇宙ステーションの関係性は何か

Robyn Gatens氏:ISSと商用宇宙ステーションは協力関係です。NASAはISSの運用を行う一方で、民間による商用宇宙ステーション開発の支援をしています。NASAは、ISS運用の中で商用宇宙ステーションに何が必要でどのような活動をするべきなのかを民間パートナーと共に考え、支援することができます。

ISS退役後、地球低軌道における宇宙環境利用はどのようにあるべきか

Ryan Prouty氏:ポストISSの活用計画は、ISSの活用と合致しています。宇宙探査のための技術開発や応用技術開発、更なる探査のための宇宙飛行士のトレーニングなど、宇宙探査の準備の場としても活用していきます。詳しい活用のビジョンは私達にとってもまだまだ見えていないところが大きいです。

小川 志保氏:低軌道は民間企業の活用が進んでいきますが、日本が米国に加わり事業提供していき、多様なサービスが進んでいくことを期待しています。その中でJAXAは公募による研究テーマの推進や探査の技術実証などで利用していくと思われるので、こうした活動について今後JAXAは調達する側の立場になるのではないかと思っています。

ISS国立研究所のポストISSの役割は何か

Ramon (Ray) Lugo氏:現在ISSで進めている活動はそのまま2030年以降も継続されます。ISSへのアクセス・帰還、低軌道での宇宙飛行士の滞在環境についても公正に取り扱っていきたいと思います。そういう意味では今後10年は更にあらゆるコミュニティーと協力して、商用プラットフォームでの運用プロセスを考えていくチャンスであると言えます。いかに低軌道にアクセスしやすくするのか、ユーザにとってオープンで扱いやすい環境にできるのかが重要になります。そのため現在ISSで用いられているプロセスを精査し、低軌道で用いやすいものに仕上げていきたいと思います。

地球低軌道の商業プラットフォームを提案しているいくつかの企業はそれぞれ役割分担をするのか、競争になるのか、それとも絞り込むのか。

Robyn Gatens氏:NASAの観点で言いますと、それぞれに同じ要件を提示しており、それぞれの企業がNASAやユーザの要件を設計に盛り込んでいくのかで決まると思うので、分担というのは考えていません。最終的には複数の企業がパートナーシップを組んでいくと考えられていますが、宇宙ステーションの規模や用途によっても動きは変わっていくと思います。もしかしたら一部の企業に絞り込むという事が自然にあるかもしれませんが、NASAの側で絞り込むという事は考えておらず、全体と協力している中で成功することを祈っています。

宇宙ステーションの役割の中に「探査の準備」があったが、NASAはISSにおける具体的な探査利用の考えはあるのか。

Ryan Prouty氏:ここ5年ほどの間に、これまでのISSの教訓を生かして、より持続可能な有人ミッションを可能にする実験が行われています。例えば地球から月へ向かう有人ミッションの際にいかに使用する物資を少なくできるか……といった研究が、今後も考えられます。

民間のISSを使いたいという利用需要は、具体的にどのようなものがあるのか。

Ramon (Ray) Lugo氏:例えば製薬分野では、宇宙での結晶成長は地球上のものとは全く違い、地球上よりも効果が高い研究が期待できることから、注目を集めています。他にはエンターテイメントも考えられますし、とある企業は民間宇宙ステーションを活用した宇宙旅行も考えられていて、これは正に民間ベースの活動と言えます。これらの活動については実際に資金調達に成功しており、今までも活動が盛んだった領域ですが、近年では宇宙で物を作るという活動も広まっていて、こちらは将来的に3000万ドルほどの規模になると言われています。

ISS国立研究所は非常に幅広いISSの利用を提供しているが、優先すべき分野はありますか?

Ramon (Ray) Lugo氏:私たちISS国立研究所の立場は、中立的です。沢山の研究分野全てを請け負っていて、私たちが受け取った全ての研究提案を、科学、そしてプラットフォームとの総合適応性を見て評価します。そして社会、経済的恩恵、国が優先する科学分野も考慮します。

商業的な観点で言えば、微小重力環境においてユニークな能力獲得ができるのか、そして経済分析を行い、研究開発を継続できるのかで決定します。しかし、科学そのものの評価で言えば基準は同じです。商用の場合はその活動を宇宙でやる意味とは何か、基礎研究で言えば科学の質が問われます。

ISSに搭載されている素粒子物理学実験モジュール AMS

(Credit:NASA)


今回は『国際宇宙ステーション「きぼう」利用シンポジウム DAY3』の、Q&Aセッションの一部をご紹介しました。

下記のURLからDAY3の様子をアーカイブ映像で視聴可能です。是非ご覧ください。

アーカイブ:https://www.youtube.com/watch?v=T6x9QVqKd0o&t=3549s

 

公式サイト:https://iss-kibo.space/2021/

 

K.Imanishi