ロケット打上げには地上施設の運用・維持管理といった業務が不可欠であり、この業務を行っているのが株式会社コスモテックです。
SPACE Mediaでは同社の関隆司氏と三宅拓未氏(2017年入社)にお話を伺い、全3回に分けて、就活生が気になる種子島での宇宙関連業務についてお伝えしています。
同社の業務内容や社内の雰囲気についてご紹介した第1回に引き続き、第2回では種子島での勤務や生活の様子についてご紹介します。
種子島宇宙センターでの勤務
第1回で紹介したように、三宅氏はロケットを移動発射台ごと持ち上げ、組立棟から約500m先の射点まで運搬する「ドーリー」という運搬台車を扱う業務を行っています。機体移動時には4時間前に出勤し、ドーリーに異常がないか最終確認をします。その後、移動開始30分前にドーリーから人工衛星へ電源供給する作業を行い、機体移動に移ります。なお、打上げ作業がない期間は、宇宙センターの維持・点検作業を行います。
(以下、三宅氏)
「打上げ作業は機体移動のみに関わっているので、打上げの際は社宅で待機し、社宅の屋上や見学場から打上げを見学できます。社宅は射点から10㎞ほど離れた場所にあるため、ロケットの音がしっかり聞こえます。音の大きさは、疲れて寝ていても轟音で起きてしまうほどです(笑)」
ちなみに、種子島での勤務期間は決まっておらず、会社の状況にもよりますが、本人の希望で異動することも可能だそうです。
種子島での生活
気になる島生活ですが、コンビニやスーパーは社宅から5分の場所にあるため、買い物には困らないそうです。コンビニは24時間、居酒屋も夜中まで営業しているため、時間の心配もいりません。その他に気になることについても、三宅氏に伺いました。
(以下、三宅氏)
「有名チェーンは店舗こそないものの、月に数回フライドチキンが販売されたり、ピザの移動販売があったりします。ただし、人気なのですぐに売り切れてしまいます。
娯楽施設はほぼありませんが、近くに綺麗な海があるので、休日は友人と釣りやダイビングをして過ごしています。また、長期休みの際には鹿児島本土へ旅行にいくこともあります。本土への交通手段は飛行機・フェリー・高速船の3種類がありますが、時間や値段を考慮して高速船を使うことが多いです。高速船には離島割(※1)がありますし、浮上して走行するので揺れも少ないですからね。ツーリングが趣味の方は、フェリーにバイクを載せて移動することもあります。」
※1:フェリーにも離島割がある
鹿児島本土と種子島を結ぶ高速船「ロケット」
SPACEMedia編集部 撮影
種子島勤務の良い点・大変な点
種子島での勤務にはどのような良い点や大変な点があるのでしょうか。それらについても、三宅氏に伺いました。
(以下、三宅氏)
「良い点は、娯楽施設がないぶん誘惑が少なく、資格勉強などに集中できる環境であることです。また、時間にゆとりがあるのでおおらかな気持ちになれます。
大変な点は、海の近くに宇宙センターがあるので、塩害ですぐに設備が錆びてボロボロになることです。また、施設と施設の間では強いビル風が吹くので、車のドアを閉める際には注意しています。」
種子島宇宙センター大型ロケット発射場全景。施設間でビル風が吹く
SPACEMedia編集部 撮影
第2回では、種子島での勤務や生活の様子についてご紹介しました。筆者は鹿児島出身なのですが、本土に住んでいたので島の暮らしを聞いて驚くことばかりでした。また、塩害やビル風など大変な中でも補修を行うコスモテックの社員の方々がいるからこそ、ロケットを打ち上げることができるのだと感じました。
最終回となる第3回では、就活生に向けたメッセージをお届けします。お楽しみに!
SPACEMedia編集部