JAXA(宇宙航空研究開発機構)と茨城県、森林研究・整備機構 森林総合研究所(FFPRI)は、地球観測衛星・だいち2号(ALOS-2)の観測データを利用した森林伐採検知の方法と、その結果を森林クラウドを通じて利用する方法についての手引きを作成し、公開した。
森林伐採検知の推奨手順と行政利用の手引き
https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-2/a2_data_j.htm
この手引きには、「だいち2号」の観測データを利用した伐採検知処理の推奨手順や伐採検知情報を森林クラウドにおいて利用する推奨手順、届出のない伐採検知箇所を対象とした現地確認の推奨手順、茨城県での利用実証において市町村による伐採検知情報の利用結果を掲載。
森林管理行政では、伐採届に基づき適切な森林伐採が行われているかどうかを自治体職員が現地確認を行う必要があるが、この確認作業は労力を要するため、地方自治体職員の負担となっている。
その一方で、近年、多くの都道府県では「森林クラウド」と呼ばれる行政システムの導入が進んでいる。
この森林クラウドに、衛星データから検知した伐採地情報(伐採検知情報)を追加することで伐採届等の行政情報との突合が容易になり、現地調査の負担の軽減が期待できる。
また、届出のない伐採地の早期の特定に役立つことも期待されるという。
JAXAとFFPRIは2018年5月に基本協定を締結、2021年1月には茨城県を加えた三者で連携協力協定を締結し、「だいち2号」を利用した伐採検知技術の検討と精度検証、さらに行政利用へとつなげる利用実証を行ってきた。
この活動を通じて「だいち2号」から得られた伐採検知情報が地方自治体の森林管理において有効に活用できることが示されたため、この成果を取りまとめ、今回の手引き公開に至った。
さまざまな領域で人手不足が深刻になる今、地方自治体においてもそれは同様だ。衛星データとデジタル技術の活用で行政業務の効率化を図る取り組みは森林行政だけでなく、他分野にも応用できそうだ。