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10/9宇宙ニュース・ispaceが英国の宇宙ロボット企業と将来の月共同ミッション実現を目指し覚書を締結 ほか3件

ispace、英国の宇宙ロボット企業と将来の月共同ミッション実現を目指し覚書を締結

Credit: ©Asteroid Mining Corporation

2024年10月9日、株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役 袴田武史)は、英国・ロンドンに拠点を置く宇宙ロボット企業Asteroid Mining Corporation(AMC、代表取締役社長 兼 CEO Mitch Hunter-Scullion)と将来の月面ミッションにおける探査ロボット(宇宙資源探査機)の技術実証および月探査の実施に向けた月輸送サービスの提供に関する覚書を締結したと発表した。

覚書は、将来、ispaceの月着陸船がAMCの探査ロボット「Space Capable Asteroid Robotic-Explorer(SCAR-E)」を月面に送り届けるというミッション構想を掲げ、そのための協力体制に合意するもので、AMCの将来の小惑星採掘に向けた技術実証を目的とする。

AMCは2016年設立。東北大学とSCAR-Eの共同開発を進めている。SCAR-Eは放射線や打ち上げ時の高加速、宇宙空間の極端な温度への耐性など宇宙環境に適応した設計となっており、地表を掴みながら歩行することで微小重力環境下での対象を絞ったサンプリングと操作が可能だという。

ispaceは最速で2024年12月に2度目の月面輸送ミッションとして月着陸船「RESILIENCE」を打ち上げる予定だが、これ以降も米国と日本の法人主導で新たに2種類のランダー開発を進めている。ispaceでは、今後のミッション計画が合意され資金が確保できれば、SCAR-Eは将来の同社のミッションに搭載される予定だとしている。

スペースワンが資金調達を実施、累計の調達額が200億円を突破

Credit: スペースワン株式会社 ウェブサイト

2024年10月9日、小型ロケットの開発・打上げに取り組むスペースワン株式会社(東京都港区、代表取締役社長 豊田正和、参考記事)は、今期の資金調達により、補助金等を含まない出資および融資のみの累計調達額が200億円を超えたと発表した。

今回は、第三者割当増資により、三井住友信託銀行株式会社およびニッセイ・キャピタル株式会社が運営するファンドから、追加の資金調達を実施。この資金調達により、今年12月を目途としているカイロスロケット2号機の着実な打上げとロケットの量産化を進め、事業を加速する構え。

2024年の資金調達ラウンドは引き続き継続し、2号機打上げ前のクローズを目指すとしている。

同社にはこれまで、キヤノン電子株式会社、株式会社IHIエアロスペース、清水建設株式会社、株式会社日本政策投資銀行、株式会社紀陽銀行、合同会社K4Ventures、太陽グループ株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、アズマハウス株式会社、株式会社オークワ、株式会社みずほ銀行、太陽工業株式会社が出資を行っている。
また、和歌山県および株式会社三菱UFJ銀行などが同社に対し長期・短期融資を実施している。

Space BD、人工衛星の航空輸送にかかわる申請代行サービスを開始

Credit: Space BD株式会社 プレスリリース

2024年10月9日、Space BD株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 永崎将利)は、人工衛星の航空輸送に係る申請代行サービスを今月から開始したと発表した。

このサービスは、日本からの輸送の場合、①日本、および②航空会社の属する国の当局から本承認を得るための申請業務を請負うもの。国外からの人工衛星輸送の場合も同様に必要な申請を請負う。

背景には、人工衛星活用の需要が高まったことで打ち上げ手段の多様化が進む中で、国内で開発した人工衛星を海外で打ち上げるケースが増えたことがある。

日本国内で開発された衛星を含め、人工衛星に組み込まれるリチウムイオン電池の空輸には関係国の特別な承認を要す場合が多く、手続き自体の煩雑さやそれによるリードタイムの長期化が衛星開発事業者の負担の一つとなっており、今回開始されたサービスは人工衛星の航空輸送に必要な一連の承認を取得するための申請業務をSpace BDが一括して請負う。

Space BDは同サービスによって日本における人工衛星開発および打上げを一層加速させ、あらゆる事業者の宇宙分野への進出をこれまで以上にサポートしていくとしている。

NASA、ISSで行われた科学研究トップニュース3つを発表

人工心臓組織の調査のために組織チャンバー内で培地交換を行う様子
Credit: NASA

2024年10月9日、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、国際宇宙ステーション(ISS)で行われた科学研究トップニュースを3つ紹介した。

1つ目は、3次元培養された心筋組織が微小重力環境でどのような変化を起こすか観察する研究。本研究の結果は、将来の長期宇宙ミッションの乗組員に対する対策の開発や、地球上での心臓病の治療薬の開発に役立つ可能性があるという。

2つ目は、宇宙からの観測と航空機からの観測データを組み合わせることで、メタンと二酸化炭素の排出源を特定する研究。本研究では排出源の特定が可能なことがわかり、この発見は、温室効果ガスの排出を改善するとともに、気候変動の緩和戦略に役立つ情報を提供できる可能性があるとしている。

3つ目は、ISS内の塵を含む、ステーションの居室内の空気中の浮遊粒子をエアロゾルサンプラーで収集した結果についてのもの。相対湿度が短期間高くなっただけでも船内空気中の菌類の増殖が促進され、菌種の多様性が変化する可能性がある。この発見からは、宇宙船や宇宙居住地での湿度条件による菌類の増殖と構成の変化を予測でき、宇宙飛行士の健康と構造の完全性を守るのに役立つことが示唆されるという。

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