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アルテミス協定にドミニカ共和国が署名 署名国は全部で44カ国に
2024年10月7日、NASA(アメリカ航空宇宙局)は、アルテミス協定にドミニカ共和国が署名したと発表した。
アルテミス協定はNASAが主導する「アルテミス計画」をはじめとした宇宙探査・利用を行う際の諸原則について各国の共通認識を示したもの。ドミニカ共和国の署名により、同合意への署名国は全部で44カ国となった。
ドミニカ共和国はカリブ海地域の島国で、人口は約1,123万人(2022年、世界銀行データ)。10月4日に同国を代表して署名を行ったドミニカ共和国駐米大使のソニア・グスマン(Sonia Guzmán)氏は、「これは、宇宙探査における国際協力への我々の取り組みにおける歴史的な一歩。月、火星、そしてさらに遠くを探査する世界的な取り組みに参加することで、我々は特にドミニカの若者に科学、教育、経済発展の機会を拡大していく」と述べた。
また、NASA長官のビル・ネルソン(Bill Nelson)氏も「NASAは、平和的な宇宙探査をすべての国に拡大する中で、ドミニカ共和国がアルテミス協定に署名したことを誇りに思う」と同国の署名を歓迎した。
アカデミアの技術シーズを社会実装につなげるプログラム「1stRound」にJAXAが参画
2024年10月7日、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東京都文京区本郷、代表取締役社長 植田浩輔、以下、東大IPC)は、同社と17大学、2国立研究機関によるアカデミア共催の起業支援プログラム「1stRound」に、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)を含め4機関が参画に合意したと発表した。
今回、1stRoundの参画に合意したのは、JAXAのほか国立研究開発法人理化学研究所と、静岡県公立大学法人静岡県立大学、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)。
1stRoundは、世界に伍する技術シーズをもつ日本国内のアカデミアの事業化を加速するプログラム。初動を加速させるためのNon-Equity資金支援をはじめ、その事業価値が算定可能な事業体・スタートアップとなるためのハンズオン支援を行うため、2017年から東京大学を母体に「起業支援プログラム」としてスタートした。その後、2019年から名称を「1stRound」とし、活動を展開している。
1stRoundでは、過去8年半で累計93チームを採択し、会社設立・資金調達を支援しており、支援後1年以内の資金調達成功率は90%以上、大型助成金の採択率50%以上だという。
参画合意にあたり、JAXA 新事業促進部長の内木悟氏は「1stRoundに参画させていただくことで、宇宙関連スタートアップへの支援強化を図るとともに、宇宙関連産業の裾野拡大につながっていくことを期待しております」とコメント。
宇宙領域を含めたアカデミアのディープテックがビジネスとして社会に広がり、新たな市場の創出や経済の活性化につながることを期待したい。
大樹町とSPACE COTAN、世界5大陸8宇宙港で覚書締結 商業宇宙港間で国際協力
2024年10月8日、商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営する北海道大樹町(町長 黒川豊)とSPACE COTAN株式会社(北海道広尾郡大樹町、代表取締役社長兼CEO 小田切義憲)は、大樹町・SPACE COTANを含めた5大陸8つの商業宇宙港で、商業宇宙港に係る国際協力に関する覚書(MOU)を締結する運びとなったと発表した。
商業宇宙港による国際協力は世界初の試み。10月13日(現地時間)にイタリア・ミラノで開催予定の国際宇宙会議IAC(International Astronautical Congress)2024の会場で署名式が行われる。
覚書を結ぶのはHOSPOのほか、アメリカのVirginia Spaceport Authority(VSA)とPacific Spaceport Complex–Alaska、オーストラリアのSpace Centre Australia、イギリスのSaxaVord SpaceportとSutherland Spaceport、スウェーデンのSweden Space Centre(SSC)、ペルーのStargate Peru S.A.C.。
各大陸で開発が進む宇宙港の連携が進むことで、宇宙輸送関連のビジネスだけでなく、立地地域の経済に新たな流れが生まれることも期待される。国際連携がどのように進んでいくかを注視したい。
光衛星間通信システムと「だいち4号」間での世界最速の光衛星間通信に成功 JAXA
2024年10月8日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「光データ中継衛星」に搭載している「光衛星間通信システム」(LUCAS)と、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)との間で、通信速度1.8Gbpsの光衛星間通信に成功したと発表した。
「だいち4号」は今年7月1日に打ち上げられたが(参考記事)、JAXAは7月4日から「だいち4号」の初期機能確認運用(搭載した各種機器に対する軌道上での動作確認)を実施しており、この作業の一環として、8月20日から「だいち4号」をLUCASと対向させた試験を開始。
約40,000キロメートル離れている「だいち4号」から伝送したデータが、世界最速「1.8Gbps」の通信速度(通信光波長1.5μm帯)でLUCASまで届いたことを確認した。
1.5μmの波長帯で、通信速度 1.8Gbpsでの光衛星間通信(静止軌道-低軌道)の成功は世界初。今回の通信成功で、これまで、一般的な低軌道衛星と地上局間の通信では1日あたりの通信時間が約1時間だったところ、LUCASで静止軌道衛星を中継することで通信時間が約9時間に増える見込みだという。
今後は衛星間距離や互いの位置関係の違いが通信品質に与える影響などの評価を行う実証実験を継続して実用化を目指すとともに、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」など、「だいち4号」以外の中~低高度(200~1,000キロメートル)の軌道上を周回する宇宙機からの観測データや実験データをLUCASで中継して地上局に伝送する実証を行う予定。