• HOME
  • ニュース
  • Planet社がCarbon Mapperにて開発した 新たなハイパースペクトル観測衛星コンステレーションの詳細を発表 - SPACE Media

Planet社がCarbon Mapperにて開発した 新たなハイパースペクトル観測衛星コンステレーションの詳細を発表

2022年9月19日、地球観測衛星の開発から運用、および観測データやデータ解析ソリューションの提供を手掛けるPlanet(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ、以下Planet)が新たなハイパースペクトル観測コンステレーション衛星、通称Tanagerの詳細を発表しました。

Tanager(これまでのPlanetの衛星コンステレーションと同様、鳥の名前を冠している)は、Planetを含む産学官のコンソーシアムであるCarbon Mapperの活動の中で開発されたハイパースペクトル観測衛星コンステレーションで、空間解像度30m、短波赤外線領域を5nmごとに400バンド以上でスペクトル分解する性能を保持しており、地球上のメタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)の排出源および排出量を特定することを可能とし、地球温暖化に大きな影響を及ぼす温室効果ガスの排出削減を促進する上で重要な情報を提供することに貢献します。

Tanagerにより、衛星リモートセンシング技術を活用したカーボンニュートラルの実現がより一層促進されることが期待されます。

Tanagerコンステレーションは2023年に最初の2機を打ち上げ、2025年にはマルチ衛星コンステレーションとしての運用を目指しています。

また、ハイパースペクトルデータは農業、防衛、エネルギー、市民政府、鉱業などの産業での利活用に大きな可能性を秘めており、PlanetはメタンとCO2 に限らず、Planetが保有する既存のDoveやSkySatなどのデータとTanager衛星コンステレーションの観測データを組み合わせて様々なアプリケーションと指標データを提供することを目指しています。

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

Carbon Mapperについて

Carbon Mapperは気候や生態系への人的影響を軽減することを目的とした非営利団体であり、Planet、カリフォルニア州、NASA Jet Propulsion Laboratory (JPL) 、アリゾナ大学、アリゾナ州立大学、RMIの産学官のパートナーシップにより形成されており、High Tide Foundation、Bloomberg Philanthropies、Grantham Foundation等による慈善事業基金により運営されています。

現在、メタン(CH4)および二酸化炭素(CO2)に起因する気候変動問題を解決するために、国際的にカーボンニュートラルへの積極的な取り組みが行われています。カーボンニュートラルを実現するためには、メタン漏れ検出における高いコスト、主要な排出領域における自己申告CO2データの事実との乖離、意思決定に関わる重要領域における不十分な観測、データのアクセス可能性と透明性の欠如などが障壁となっています。このような状況を打破すべく、Carbon Mapperは下記を実現することをミッションとして掲げています。

  • 施設スケールでのメタンとCO2の排出地点特定および排出量監視
  • 施設運用者と規制当局向けの迅速なメタン漏れ検出サービス提供
  • オイルまたはガスサプライチェーン個別のメタン排出量データ提供
  • メタンおよびCO2の排出における国際的なアクセス性と透明性の向上、およびその理解の促進
  • 主要パートナー協力によるデータ主導の排出削減戦略の推進

これに伴い、Carbon MapperはメタンおよびCO2排出の排出源および排出量を特定するハイパースペクトル観測衛星コンステレーションを開発しています。

本計画の中で、PlanetはNASA JPLにより開発されたハイパースペクトルイメージングセンサ技術を活用した衛星コンステレーションの設計、開発、運用を担っています。

このような産学官一体となった地球観測分野のコンソーシアムによるカーボンニュートラルへの取り組みは我が国にも参考となるのではないでしょうか。

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

ハイパースペクトル観測について

ハイパースペクトル観測は、数百にもおよぶ多数の波長帯に分解したハイパースペクトル画像を取得します。LandsatやSPOTに代表されるような従来の地球観測衛星では、10以下の波長帯に分割したマルチスペクトル観測が主流でしたが、近年のリモートセンシング技術の発達により、Hyperion、EnMAP、PRISMA、HISUI等に代表されるようなハイパースペクトル観測衛星が打ち上げられ、現在運用されています。また、Tanagerに加えてGHOSt(Orbital Sidekick社)やÑuSat(Satellogic社)等のハイパースペクトル観測衛星のコンステレーションも構築されつつあります。

ハイパースペクトル画像はマルチスペクトル画像に比べ、観測対象の化学組成等についてはるかに多くの情報を保持しているため、気候変動モニタリング、資源管理、作物分類、汚染管理など様々な分野で多くの利活用が期待されています。

ESA 公式ホームページより

【記事についてこのニュースは文部科学省の令和4年度地球観測技術等調査研究委託事業「将来観測衛星にかかる技術調査」の一環で配信しております

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

参考文献

Planet Announces New Details Of Hyperspectral Offering – Planet Labs PBC
https://www.planet.com/pulse/planet-announces-new-details-of-hyperspectral-offering/

Carbon Mapper: accelerating local climate action, globally
https://carbonmapper.org/