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人工流れ星サービスのALE、「ALE-3」のエンジニアリングモデル完成―2024年に打上げ予定

人工流れ星の実現を目指す宇宙スタートアップの株式会社ALEは2023年6月5日、人工流れ星衛星3号機「ALE-3」のエンジニアリングモデルが同年3月に完成したと発表した。同社は、ALE-3を2024年後半に打上げ、2025年に世界初の人工流れ星サービスとして提供開始する予定だ。

人工流れ星衛星3号機(ALE-3)エンジニアリングモデル
Credit: 株式会社ALE

大型化した3号機、流星源の搭載粒数が大幅に増加

ALE-3では、2号機で発生した不具合を踏まえて人工流星放出機の設計全体を再確認し、信頼性を高めるための設計アップデートが行われている。また、各分野のエキスパートを増員して社内の開発体制を強化し、さらに質の高い設計、製造、検証を可能にしたとのことだ。
従来機と比べて大型化した「ALE-3」は、これまで400粒だった流星源(人工流れ星の素となる粒)の搭載粒数が1,000粒に増加した。

現時点でのALE-3のスペックは以下の通り。

ミッション機器:人工流星放出機
本体寸法:812 × 812 × 1300 mm
質量:200 kg
流星源の搭載粒数:1,000粒(1,000粒のうち商用利用するのは900粒)

イベントや観光での活用が期待される世界初の人工流れ星

ALEが掲げる宇宙エンターテインメント事業「SKY CANVAS」は、宇宙を広大なキャンバスに見立て、夜空に人工流れ星を降らすという、かつてない規模のプロジェクトだ。
同社独自のテクノロジーにより、人工衛星から「流星源」を放出することで、世界各地で観測可能な人工流れ星を発生させられるという。

この人工流れ星は、スポーツ大会や音楽イベント、企業プロモーションイベントなどの各種イベントのほか、観光コンテンツとしての活用が期待されている。

宇宙エンターテインメント事業「SKY CANVAS」
Credit: 株式会社ALE

人工流れ星を活用する新手法の地球観測も計画

同社では、エンターテインメントという目的だけでなく、人工流れ星を使って、これまで観測が十分にできていなかった地球大気データを高頻度で取得することも計画している。
素材やスピードが明らかな人工流れ星を特殊なカメラや計測器で観測することで、気球や人工衛星では取得が難しいとされてきた中間圏(地上60~80km)の大気データを得られるという。

取得したデータは、気象予測精度の向上や、中長期の気候変動メカニズムの解明に寄与するほか、災害対策や船舶・航空の経路最適化などへの活用も期待されている。

大気データ事業
Credit: 株式会社ALE

同社はALE-3の開発により、世界初の人工流れ星を実現し、新たな宇宙エンターテインメントを創り出すとともに、科学発展に貢献する研究を大きく前進させていくとしている。